偏差値が示す現在地を正しく理解して合格を勝ち取ろう

ガッツポーズをする中学生

偏差値を知るもの受験を制す

みなさんは自分の偏差値がどれくらいか知っていますか?そもそも偏差値ってどういうものか、きちんと理解できていますか?

模試を受けるたびに偏差値に一喜一憂したり、高校受験の入試情報などの偏差値一覧を見て、複数の資料で数値が微妙に違っているのを不思議に思ったり、そんな経験はありませんか?

本稿では、偏差値について正しく理解した上で、学力の向上のためにどう活用すればよいかお話します。

1.偏差値とは、自分の現在地を示す指標

試験における偏差値とは、自分の得点が、その試験を受けた集団の全体の中でどれくらいの位置にいるかを示す指標です。

例えば、満点が100点のある試験を受けて、得点が67点だったとします。
それだけの情報では、自分の解答の67%は正解だったということしか分かりません。

その次に先生が「平均点は60点だぞー」と言ったとします。すると、平均点よりは上だったな、ということが分かります。

平均点はその試験の難易度を表すので、同じ得点でも平均点が低ければ(難易度が高ければ)よい出来栄えだったとなるし、平均点が高ければ(難易度が低ければ)いま一歩だった、と評価できますね。

でも平均より上か下か、それしか分からないのはもどかしいですよね。

そんなときに偏差値を出します。偏差値の計算は次のような式を使います。

自分の得点が平均点からどれくらい離れているかを数値化する、という計算式になっていることを、なんとなくでも理解できますか?

標準偏差とは、試験を受けた全員の点数のばらつき具合を表す数値です。
点数のばらつきが小さいときは標準偏差が小さく、点数のばらつきが大きいときは標準偏差が大きくなります。

※標準偏差の数値は、受験者すべての得点が分からないと導けないので、興味があれば先生に聞いてみましょう。

横軸に得点、縦軸に人数をとって度数分布を模式化したグラフは次のようになります。
ばらつきが小さい(標準偏差が小さい)と、とがった曲線になり、ばらつきが大きい(標準偏差が大きい)となだらかな曲線になります。

図のように、同じ偏差値60でも点数が異なることがあります。
逆に言うと同じ70点をとった理科と数学で、大きく偏差値が異なるということもあるわけですね。

これは、偏差値が自分以外の人との比較で決まる数値だからだ、ということです。偏差値は絶対値ではなく、相対値なんです。

また、得点が平均点と同点の場合は、必ず偏差値50なるということや、試験を受ける集団が変われば偏差値も変わるという性質もあります。

偏差値は、自分の得点が全体の中でどれくらいの位置なのかを表していますが、ざっくりと順位も分かります。次の表を見てください。

例えば偏差値70であれば、1000人受験した中で22.8位、偏差値45であれば、691.5位に位置していることなります。(あくまで参考まで)

ここまででみなさんに理解してほしいことは、

  • 試験を受けた集団が変わると、偏差値も変わる。だから数値にこだわり過ぎないこと。
  • 集団が大きくなれば(受験人数が多い方が)より信頼できる偏差値になる。

ということです。

2.受験する高校の偏差値は、過去の合格者の偏差値

一方で、受験校ごとに合格の目安となる偏差値を示した資料「高校偏差値一覧」などを見たことがある人もいると思います。

合格の目安の偏差値ってどうやって決めているの?と思ったことはありませんか。

端的に言うと、過去に模試を受けた受験生の中でそれぞれの高校を合格した人を調査し、偏差値の合格ライン(可能性80%)を推定しています。だから高校偏差値一覧という資料を発行している会社は、模試の運営会社か情報提供を受けた会社だったりします。

また、年が変わると高校の偏差値もわずかに変わることもあります。模試を受ける受験生、つまり集団が変わるからです。

質問
学習塾で受けた模試では全教科の偏差値が比較的低く出ました。なぜなんでしょうか?
回答
違う会社の模試を受けませんでしたか?

受験生向けの模試は、運営会社が異なるものがいくつか実施されています。名前で言うと「Vもぎ」や「神奈川全県模試」などがありますね。これらのうち、比較的学力の高い人が多く受ける模試というのもあります。
学力の高い人が多く受ける模試では、偏差値は相対評価なので、自分の偏差値が低めに出ることになります。その場合は、その会社が発行する高校偏差値一覧資料の合格目安も低めの数値になっていると思いますよ。
偏差値が低く出ても悲観せず、その模試の合格判定の結果や、学習到達度評価をよく理解して、できなかった問題をきちんと復習して次の学習に活かしていきましょう。それが模試を受験する意義であり、一番意味のあることです。

質問
模試の結果で、偏差値が上がったのですが、合格判定が変わりませんでした。なぜですか?
回答
志望校に設定する受験者の層や人数が変化したからかもしれません

みなさんが参考にしている「高校偏差値」の数値は、少なくとも前年度の合格者の調査結果です。
たとえば、高校によっては、次年度からカリキュラムの変更を計画している、独自の課外活動や研修プログラムを新設するといったイベントの節目になっている場合、志望者が増えて結果的に合格ラインが上がることもあります。
受験した模試で、その高校を志望する人が多く、学力の高い人が志望校に設定している場合は、自分の偏差値が上がっても相対的に合格確率が下がってしまい、合格判定の結果が悪くなることもあります。
偏差値と合格判定は別の意味を持つものなので、できるだけ受験人数の多い模試を受け、信頼できる最新のデータを得て、自分の学習につなげてください。
もちろん、私立校模試などの志望者を限定した模試も、私立校が第一志望の人には意味がありますので、それぞれの模試の性格をよく理解して受験しましょう。

3.学力UPへ!日々の学習を見直す方法

偏差値を見ると、自分の得意教科、不得意教科が見事に数値になって表れていると思いませんか?

偏差値は、科目が違っても同じ目安で比較するので基準を持って科目ごとの到達度を測れます。
たとえば、科目ごとの偏差値の違いを踏まえ、勉強時間を教科ごとに変えてみることも効率アップにつながるでしょう。

仮に5月の偏差値が英語50・数学40・国語45だとしたら、これから1週間の勉強時間の配分を英:数:国で2:5:3にしてみる。

弱い数学に多くの時間を割く、といことです。

4ヶ月後、9月の偏差値が英語55数学45国語45に変わっていれば、今度は英:数:国1:5:4に変更してみる。

英語が比較的よいので、配分を減らしたというわけです。

勉強時間にはつい自分の好きな教科から手をつけてしまいがちですが、時間に基準を設けることで意識的に科目ごとに切りかえて勉強時間を使う助けになるでしょう。

また、模試の結果には、各教科の領域別に学習到達度の評価が書かれています。たとえばこんな表です。

これを今日からの学習に活かさない手はありません。
この例だと「さまざまな化学変化」「物質と区別」は強化すべきポイントだと分かりますね。

まずは模試の問題を見直して、どこが間違っていたのか、正解するにはどうしたら良かったのかを確認し、教科書を開いて該当箇所の練習問題からもう一度おさらいしましょう。

4.おわりに:偏差値は他の受験者との距離感

ここまで見てきたように偏差値は受験勉強をするうえでは目安として欠かせないものです。
偏差値は自分と他の受験者との距離感をはかるようなものです。

勉強は一人でするものですが、偏差値で見えてくるのは、志望校という目標に向けて走っているライバルたちの姿ですね。
ただの数値ではなくその背後には同じように勉強しているライバルたちの存在があるのです。

偏差値と賢くつき合って合格という目標へ向けてかけ出しましょう。

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