第153回[関東学院大学]大学の非常勤講師が自分の授業を紹介してみた

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こんにちは。
横須賀中央校大学受験コース担当の中村です。

私はいくつか仕事を掛け持ちしているのですが、そのうちの一つに「大学・専門学校の非常勤講師」があります。
今回は「関東学院大学経済学部非常勤講師」として、私が担当する「パソコン・データ解析I・II」の授業の内容を自分で紹介してみようと思います。

(1) パソコンデータ解析ってどんな講義?

概要

前期のパソコン・データ解析IはExcelを使って、後期のパソコン・データ解析IIは統計用の言語である「R」を使って、15回でデータサイエンスの基礎を習得する講義です。

新型コロナウイルス感染症の影響で、令和2年度、令和3年度いずれも完全オンラインでの授業になっています。

学生用のポータルサイトから、私が事前に収録した授業動画を受講していただき、それに対応する課題やレポートを提出してもらうことで成績評価がされる、「新しい生活様式」に対応した授業です。

内容

「データサイエンス」「データ分析」「AI」という言葉を耳にしたことがある人も多いかと思います。
私は、「物事の因果関係をデータ分析を通じて考えられるようにしてほしい」との思いで、本講義を担当しています。具体的には、「何が原因で何が結果なのか」を考える段階を自分でできるようになるのが本講義の一つの目的です(この分野は「リサーチデザイン」と呼ばれる分野で、これはこれでひとつの講義ができるレベルの重要な分野です。)。

また、データを数字のままではなく、綺麗なグラフや表にまとめる技術もこの授業で学ぶことができます。アメリカのプリンストン大学では、「Data Visualization」といって、データの可視化を学びます。和田(2020)でも指摘されているように、「調べ学習という名のコピペ、現地調査という名の私的感想文執筆」が大学の授業ではびこっている現状は少なからずあるのだと思います。そこで、そのような質の低いレポートを廃し、また、怪しげな3Dのグラフなどにだまされたり、そのようなグラフを作って人を騙すような人材が出てこないように、前述のプリンストン大学(現ハーバード大学教授)の先生の授業のように、「Teach data analysis before statistics」の理念をパクらせていただき、因果関係を考えるのと同じくらいデータの可視化に重点を置いて授業を組み立てております。

したがって、「リサーチデザイン」と「データの可視化」がこの授業の大きな柱になると言えるでしょう。

授業の構成

私の方でまず30~60分程度説明を行います。
その後も後述の教科書やスライドを用いて演習を行ってもらいます。受験勉強もそうですが、授業を聞いているだけでは絶対に定着しないし、できるようにはなりません。自分で手を動かして問題を解くことで初めて定着します。そこで、大学の授業でもそのようなスタイルで授業を組み立てております。

教科書は私が大学院生時代に執筆した『はじめてのRStudio』を活用します。早稲田大学政治経済学部や横浜市立大学国際商学部、拓殖大学政経学部などでも採用されていた定評のある初学者向けのRStudioの解説の教科書です。

ありがたいことに令和3年度は3桁の学生さんにご受講いただいております。

(2) 高校生に求められること

以上、私の授業の内容を簡単に紹介してみましたが、いかがだったでしょうか。

昔、アメリカのダートマス大学の政治学の先生の授業を受講した時に、政治学を研究するのにあたって、
・自由な発想(旺盛な好奇心、他分野から学ぶ姿勢、様々な国に実際に行ってみる)
・それを実現するスキル(数学、統計学、プログラミング、英語)
が求められるとおっしゃっていました。それは経済学、経営学、商学、政治学などの社会科学全般に当てはまることだと思います。

高校生の皆さんも是非、いろいろなことに興味を持っていただき、自分の世界を広げていってほしいと思います。

※参考文献
浅野正彦、中村公亮(2018)『はじめてのRStudio エラーメッセージなんかこわくない』
和田淳一郎(2020)「教養ゼミ実践報告 ─Data Visualization を中核において─」『横浜市立大学論叢.社会科学系列』71巻2号、pp.269-298

関東学院大学 公式サイト https://univ.kanto-gakuin.ac.jp/

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