理科の質問箱
脳にシワがある理由とは?大脳のしくみと「脳化指数」でみる動物の知能差
どうして脳にシワがあるのですか?(恐竜さん)
脳にあるあのクネクネとしたシワには、実はちゃんとした理由があります。この記事では、大脳・小脳・脳幹それぞれの役割から、シワが「考える力」とどう関係しているのか、そして「脳が大きい動物ほど頭がいいのか」という素朴な疑問まで、やさしく解説します。
脳はどうやって作られる?
ヒトの脳はお母さんのお腹にいる胎児のときから、シワが作られていきます。シワができる理由は、頭がい骨の中に脳をきちんと収めるためです。
脳の3つの部分:脳幹・小脳・大脳
ヒトの脳は、大きく分けると脳幹・小脳・大脳からできています。

脳幹は呼吸など命をたもつために大事なはたらきをしています。小脳は「運動の記憶」に関係しています。自転車を例にあげると、初めはうまく乗れなくても練習するうちにうまく乗りこなせるようになります。そして一度このようになれば、時間が空いてもうまく乗れます。これは、自転車の乗り方を「運動の記憶」として小脳にたくわえられているためです。
なぜ大脳にシワがあるのか
そして、今回のシワの話となる大脳は、脳の外側にあるもっとも大きい部分です。大脳の役わりは「考えるはたらき」です。このはたらきをする場所は、大脳表面のごくうすい部分にあります。
シワのようすは、この「考えるはたらき」と次の2つが関係します。
- シワが多くなるほど大脳の表面が広くなり、面積が広いとそれだけ「考えるはたらき」が大きくなると考えられています。
- 離れた「考える領域」をニューロン(神経細胞)でつなぐため、と考えられています。
大脳の表面では、五感や運動、言語・思考・創造・情操などを考える部分が細かくたくさん分けられています。

これらの情報と伝達を処理するのがニューロンです。このように、大脳で「考えるはたらき」を良くするために、大脳の面積は広くありつつも、ニューロンによる情報と伝達の効率がよくなるよう、シワを作ることで頭がい骨にきちんと収まるようになります。ただし、脳の研究はまだまだわからないことばかりです。この考えが必ず正しいとは言えません。
脳が大きい動物ほど頭が良い?
もし、脳が大きくシワがたくさんあれば頭が良いと言うなら、ヒトよりゾウやクジラの方が優れていることになります。
ヒトの脳の重さは1,200g〜1,500gです。ゾウは約4,000g〜6,000g、クジラ(マッコウクジラ)は約7,000g〜8,000gにもなります。もちろんシワもあります。今回の話とは少し違いますが、「脳のシワが多い・脳が重いと頭がよい」というわけではないということです。
本当の指標は「脳化指数」
では、動物の知能を比べるとき、何を見ればよいのでしょうか。手がかりの一つとされているのが「脳化指数(EQ)」という考え方です。
これは、単純な脳の重さではなく、「体の大きさに対して脳がどれくらい大きいか」という比率で表す指標です。ゾウやクジラは脳そのものは大きくても、体重に対する比率で見ると、哺乳類の平均的な値に近くなります。一方でヒトは、体の大きさに対して脳が際立って大きく、この脳化指数が動物の中でもトップクラスに高いことが分かっています。
ちなみに、イルカ(バンドウイルカ)の脳は約1,600gと、実はヒトよりも重いのですが、高い学習能力を持つことで知られています。脳の重さだけでなく、大脳新皮質の発達具合なども合わせて、知能は総合的に判断されているのです。