2022年度 中学入試の国語 出題作品を予想!!なぜ新書から出題されるのか?

10冊の新書を紹介

国語の問題として、出題される本の多くが新書です。

この事実を知っていれば、志望校の入試問題を事前に読んでおくことが可能になるかもしれません。

わずかな制限時間で、1点、2点の点差が合否を分ける中学入試。

そんな入試本番。

もし、事前に読んだことのある本から出題されたとしたら、10分単位で時間に余裕ができるでしょう。
問題文を十分に理解した状態で解答することもできるでしょう。

そうすれば、国語の高得点は間違いなしで、ライバルに差がつけられますよね。

「そんなこと、本当なの?」とお思いの方もいらっしゃると思います。

これから説明する簡単な法則を知っていただいき、ご自身で過去問にあたって、ぜひ、確かめてみてくださいね。
小学4年、小学5年生の保護者の方は、この法則を身に着けて、お子さんの受験する年度には、どんな本が出るのか、書店をあたってくださいね。

1. 入試国語に必要な読書速度はこんなに速いの!?

最難関私立中学のひとつ、麻布中学校の国語を、まず例にして、なぜ読んだことのある本が出題されると有利なのか。
実感として、わかっていただけるように説明します。

麻布中学校では、多い年は8000文字前後の問題文が出題され、それに対して十数問の設問があります。
設問のほとんどは記述解答式。

中には100文字を超える論述問題もあります。
その試験時間は60分。

そのうち、解答の記述作成に30分かけるとします。
予備に10分。
問題文を2回読む。

こう想定しましょう。

すると、一通り読むのに割ける時間は10分間しかありません。

つまりは800文字/分のスピードで文章を読む必要があるのです。

2. 大人の読書速度より速く読む!中学入試国語

大人の読書速度が、だいたい600文字/分と言われています。
これは文庫本1ページの文字数に相当します。
皆さんも文庫本1ページを1分間で読むような体感をお持ちだと思います。

つまり、最難関中学レベルの国語の入試問題ですと、一般的な大人よりも速いスピードで文章を読み進める必要があるわけです。

このような状況下で、すでに読んだことがある本から出題された場合、どれだけ有利になるか。
10分という読みにかける時間が短くできるうえに、初見者に比べたら設問理解や記述解答でも格段に有利になるはずです。

合格に一歩どころでなく、何歩も近づけるでしょう。

そんなことが、今回ご紹介する法則を知れば、うまくすると可能なのです。

3. 2022年度 中学入試 国語の予想出題本10冊!

もったいつけず、さっそく2022年度の入試問題に出題されるだろう本を10冊予測して、ご紹介します。

ただ、お断りしておきますが、当然、出題を確約するものではありません。

あくまで法則をご理解いただくための例として、ご紹介するとお考えください。
過去の事例によると、この10冊の中から出題される可能性が高いというだけです。

① 地域活性化を目指す!

書名:地方を生きる
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:小松 理虔
刊行日:2021/01/06

② 世界で紛争はどのように解決されているのか?

書名:紛争解決ってなんだろう
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:篠田 英朗
刊行日:2021/01/06

③ 「値段」を手がかりに解き明かした経済学入門。

書名:値段がわかれば社会がわかる ――はじめての経済学
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:徳田 賢二
刊行日:2021/02/04

④ ニュースの作られ方から、信頼できる情報の見分け方とは?

書名:はじめてのニュース・リテラシー
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:白戸 圭一
刊行日:2021/03/04

⑤ 新学習指導要領の重要キーワード「探究」を知る!

書名:問う方法・考える方法 ――「探究型の学習」のために
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:河野 哲也
刊行日:2021/04/06

⑥ 「やる気」のメカニズムを解明!

書名:勉強する気はなぜ起こらないのか
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:外山 美樹
刊行日:2021/04/06

⑦ なぜ小中学生女子は「わたし」ではなく「うち」と言うのか?

書名:「自分らしさ」と日本語
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:中村 桃子
刊行日:2021/05/06

⑧ 自分の育った地域を考える!

書名:地域学をはじめよう
シリーズ:岩波ジュニア新書
著者:山下 祐介
刊行日:2020/12/18

⑨ これからの国際協力とは?

書名:SDGs時代の国際協力: アジアで共に学校をつくる
シリーズ:岩波ジュニア新書
著者:西村 幹子、小野 道子、井上 儀子
刊行日:2021/02/19

⑩ なんのために生きるのか?

書名:はじめての哲学
シリーズ:岩波ジュニア新書
著者:藤田 正勝
刊行日:2021/06/18

4. 2021年度 中学入試 国語の出題で出た本はこれ! その1

では、なぜ、この10冊が出題されると予測できるのか。
その根拠を説明します。

簡単に結論を言いますと、入試に出題される本は、ある特定のシリーズ本の特定の出版時期に集中するからなのです。

次に昨年、2021年に中学入試で出題が最も集中した本と、出題された学校名を併記して、ご紹介します。
そうすると「なるほど!」と、納得していただけると思います。

筑場、桜蔭など、2021年度出題数ナンバー1作品!

書名:はずれ者が進化をつくる –生き物をめぐる個性の秘密
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:稲垣 栄洋
刊行日:2020/6/9

2021年度出題校
筑波大学附属中学校、桜蔭中学校、明治大学付属中野中学校、ラ・サール中学校、大妻中学校、城北埼玉中学校、鷗友学園女子中学校、学習院中等科、桐光学園中学校、鹿児島県立高校入試

鎌女、湘白などで出題!

書名:「さみしさ」の力
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:榎本 博明
刊行日:2020/5/8

2021年度出題校
市川中学校、鎌倉女学院中学校、湘南白百合学園中学校、栄東中学校

5. ジュニア向け新書から出題される!

出題が最も集中した本を、ご覧いただければ一目瞭然ですね。
中学入試ではジュニア向けに書かれた新書シリーズから、とてもよく出題がされるのです。

小学生の入試国語の出題文を、大人向けの書籍から出題しようとしても、なかなか難しいのです。
だからと言って、児童書から出題しては簡単すぎる。

ちょうど良い本が限られていて、ジュニア向けに書かれた新書シリーズからの出題に、どうしても集中するのが入試国語の実情なのです。

そんなジュニア向け新書のシリーズといえば、以下の2つと限られているのも、予測しやすい理由です。

岩波ジュニア新書(岩波書店)
ちくまプリマー新書(筑摩書房)

しかし、そんな2つのジュニア新書も、すでに出版された点数は、合わせると1000点以上です。

6. 入試前年に出版された本から出題される!

それなのに、なぜ、同じ年の入試問題に、同じ新書から出題がこれほど集中するのでしょうか。

ここにも事情があります。

先にあげた2021年度に複数校で出題された2冊の本の刊行日を見てください。

・はずれ者が進化をつくる 生き物をめぐる個性の秘密 刊行日:2020/6/9
・「さみしさ」の力 孤独と自立の心理学 刊行日:2020/5/8

いずれも入試前年の2020年に出版されている本なのです。

7. 2021年度 中学入試 国語の出題で出た本はこれ! その2

2020年より以前に出版されたジュニア新書からも多く出題は、されています。
2021年度に出題された、2019年以前に刊行されたジュニア向け新書も以下に示しましょう。

青山学院横浜英和などで出題!

書名:なぜ科学を学ぶのか
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:池内了
刊行日:2019/10/8

2021年度出題校
青山学院横浜英和中学校、高輪中学校、淑徳与野中学校、栄東中学校

筑駒で出題!

書名:ひとりで,考える 哲学する習慣を
シリーズ:岩波ジュニア新書
著者:小島 俊明
刊行日:2019/5/22

2021年度出題校
筑波大学附属駒場中学校、高輪中学校

本郷中で出題!

書名:何のための「教養」か
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:桑子 敏雄
刊行日:2019/7/5

2021年度出題校
本郷中学校

世田谷学園で出題!

書名:おとなになるってどんなこと?
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:吉本 ばなな
刊行日:2015/7/7

2021年度出題校
世田谷学園中学校

鎌学は複数回で出題!

書名:いのちはなぜ大切なのか
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:小澤 竹俊
刊行日:2007/9/1

書名:中学生からの哲学「超」入門―自分の意志を持つということ
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:竹田 青嗣
刊行日:2009/7/1

2021年度出題校
鎌倉学園中学校

海陽中等教育学校で出題!

書名:日本人にとって自然とはなにか
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:宇根 豊
刊行日:2019/7/5

2021年度出題校
海陽中等教育学校

豊島岡女子で出題!

書名:先生はえらい
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:内田 樹
刊行日:2005/1/1

2021年度出題校
豊島岡女子学園中学校

普連土学園で出題!

書名:自分で考える勇気――カント哲学入門
シリーズ:岩波ジュニア新書
著者:御子柴 善之
刊行日:2015/3/21

2021年度出題校
普連土学園中学校

洗足学園で出題!

書名:「今、ここ」から考える社会学
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:好井 裕明
刊行日:2017/1/5

2021年度出題校
洗足学園中学校

白百合で出題!

書名:自分のためのエコロジー
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:甲斐 徹郎
刊行日:2006/8/1

2021年度出題校
白百合学園中学校

頌栄で出題!

書名:ことばの発達の謎を解く
シリーズ:ちくまプリマー新書
著者:今井 むつみ
刊行日:2013/1/9

2021年度出題校
頌栄女子学院中学校

8. なぜ前年の出版に出題が集中するのか?

確かに、2019年以前に刊行されたジュニア向け新書からも、かなりの出題はあります。

ですが、2020年刊行のジュニア向け新書のように、一冊の本から複数の学校が集中して出題しているわけではないのが、おわかりでしょうか。

2020年に刊行され、出題数ナンバー1の『はずれ者が進化をつくる –生き物をめぐる個性の秘密』は、筑場、桜蔭、鷗友など9校もの中学校で出題されていました。

このような背景は、数年前に出版された本ですと、以前にも入試問題として扱われている場合があるからです。

考えてみてください。

いったん出題されると、その入試問題は過去問としても広く一般に知れ渡ります。

当然、その出題作品を、もとに編集された参考書も作られるわけです。

すると、数年前の本ですと、かなりの受験生がすでに問題文に触れてしまっている出題になる可能性があるのです。

そのため、まだ、受験生が触れていない割合の高い刊行されたばかりの本に出題が集中するわけです。
その結果、入試前年に刊行された本に出題が集中するというわけです。

9. なぜ1~6月の出版に出題が集中するのか?

さらに、出題が集中した2冊の本の刊行日を今一度見てみてください。

・はずれ者が進化をつくる 生き物をめぐる個性の秘密 刊行日:2020/6/9
・「さみしさ」の力 孤独と自立の心理学 刊行日:2020/5/8

1~6月までの上半期に刊行されているのが、おわかりですか。

ここで、学校の先生の立場になって、入試問題を作る年間のスケジュールを想像してみてください。

すると、こんな先生の行動が浮かびあがってきませんか。

入試問題を作る先生のスケジュール

夏休み前
1.出題する本の候補を複数選ぶ
2.それらの本を読み込む

夏休み
3.出題する本を決める
4.入試問題を作成する

先生が、まとまった時間の取れる夏休みを軸に考えると、さらに入試の出題本がしぼれてくるのです。

「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」と孫子も説いていますね。

入試を作問する先生たちが、どのような、スケジュールで行動するかを考えれば、いっそう合格に近づくのです。

10. 入試国語の傾向分析本があった!

ここからはなぜ、新書から入試問題が出題されると言えるのか。
その根拠を補強する分析結果を、さらにご紹介します。

この記事をまとめる以前に、よくこの事実を示す先行研究的な本があるのです。

書名:著者に注目! 現代文問題集
監修:小野 裕紀子 編集:教学社編集部
刊行日:2012/10/26

この本は大学入試の過去問を大学ごとに、まとめた赤本で有名な出版社の教学社が6000題の大学入試国語を分析した本です。

この本は、どのような著者がよく出題されているのか、良く選ばれている作品には、どのような傾向や特徴があるのかを、集計データと分析で示してくれています。

入試国語とは、どのような傾向のものかを把握するうえで、大変参考になり、正直、毎年、新年度版を出版してほしいのですが、2012年度しか出版されませんでした。

しかし、入試出題傾向を知るための分析としては、この年度だけでも確かに十分ではあります。
この本の分析をもとに、そこで示された法則性を使えば、ある程度、来年度の出題予想が可能だからです。

11. 大学入試でも新書から出題されている!

さて、この本で示されている分析は次のように、中学入試で紹介した法則と、ほぼ同じです。

1. 入試前年の上半期に刊行された本から出題されやすい
2. 新書から出題されやすい

2011~2012年度の大学入試の国語で出題された全2,282作品のうち、入試前年~入試5年前までに刊行、発表されたものの点数は約1,100作品で、全体の半数を占めているというのです。

さらに、詳しく刊行時期を分析してみると、入試前年の1月~6月までに刊行された作品からの出題が最も多く、その数はなんと、340作品にも、のぼるそうなのです。

そして、さらに、全作品の刊行形態に注目した調査では、2つ以上の大学で出題された作品の43パーセントが、新書からだったそうです。

また、5回以上出題された作品になると、なんと、新書からの出題は63パーセントにものぼります。

12. なぜ大学入試でも新書から出題されているのか?


なぜ、これほど新書から出題されるかという分析ですが、新書は広い範囲の読者を想定して専門家が書いているわけです。

新書は文字通り「新しい書」ですから、時事的、先進的なテーマが多く、かつ専門家が広範囲の読者向けに書いています。

時事的で、専門的な話題を扱いつつも、著者が読者に理解してもらえるように具体例や解説をはさみつつ、丁寧に議論を進めているのが新書です。

大学入試の国語で出題される文章は、当然ですが、大学教授の先生たちが、読んだ本から出題されているわけですが、大学の先生がふだん読んでいる本というと、どんな本でしょうか。
多くが専門書、研究書でしょう。

専門書は、それこそ専門用語だらけで、入試問題にするには難しい。

しかし、先生たちは、大学の名前を冠した入試問題として出題して恥ずかしくない文章にしたい。
入学者にぜひ、読んでもらいたい本となると、知の最前線を扱いながら、専門的ではない新書という形態が、大学入試でも、おのずと格好の材料になりやすいのです。

まとめ

大学入試の内容をならって作られるのが高校入試、中学入試の問題です。

大学入試では大人向けの新書から出題が頻出している流れをならって、中高入試の出題文はジュニア向け新書から多く作られているとも言えるわけです。

予測で始まったこのブログですが、最後に入試作品に隠された出題する先生からのメッセージも推測しておきましょう。

出題する先生たちは、出題した文章を正しくに読むことのできる受験生に入学してほしいわけです。
つまり、出題レベルの文章を読みこなせる学力を身につけてから入学して欲しいと願っているのです。
そして、出題される文章の内容は、これをふまえて、中学の学習にのぞんでほしいという受験生へのメッセージです。
ぜひ、それを受け取ってくださいね。

ジュニア向け新書を読んで、がんばれ受験生!

執筆:国大Qゼミ中学受験コース 国語科

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