中学入試出題図書を分析してみました

こんにちは、国大Qゼミ川崎校の亀田です。
今月は川崎校で2023年から実施している企画、「MDT48(丸読タイム48)」の出題図書および出題傾向分析について、3回にわたってお話しいたします。
(今回が3回目です)

今回は、今年1~2月にかけて実施された2025年中学入試 出題テーマから見える傾向と私見を書きます。

1. 分析対象校

・49校分(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・関東以外)

2. 2025年中学入試で目立ったテーマ

「自分と向き合う」・「自分らしさ」・「自立」

→24校出題(駒場東邦、慶應義塾普通部、海城、ラ・サール、攻玉社、鎌倉学園、豊島岡女子学園、雙葉、浦和明の星女子、フェリス女学院、横浜共立学園、横浜雙葉、鎌倉女学院、神奈川学園、慶應義塾湘南藤沢、早稲田実業学校、栄東(東大特待)、西大和学園、市川、中央大学附属横浜、神奈川大学附属、法政大学第二、日本大学、久留米大学附設)

【寸評】
 新型コロナウイルスまん延期の“ソーシャルディスタンス”が余儀なくされた3~4年前に、「利他」(相手のことを思いやること)というテーマが中学入試で多く見られました。そしてコロナ期が落ち着くと表面化したのが、“自分を押し殺して周りに合わせてしまう”“同調圧力”などで、2025年は、そのような風潮に対に対し、“自分自身としっかり向き合い、自分らしさを求めていくことも大切だ”ということがテーマとして多くの学校で扱われたのではないかと推測します。

3. 2025年中学入試で多くの出典があった著書

□物語文

ぼくの色、見つけた! 志津栄子 (文学の扉)講談社…横浜雙葉,鎌倉女学院,日本大学 出題

ぼくの色、見つけた! (文学の扉)

あの空の色がほしい 蟹江杏 河出書房…横浜共立学園,慶應義塾湘南藤沢,久留米大学附設 出題

あの空の色がほしい

百年の子 古内一絵 小学館…開成,浅野 出題

百年の子

【寸評】
 『ぼくの色~』と『あの空の~』は上記の「自分と向き合う」「自分らしさ」がテーマです。
 『百年の子』は“女性の人権”がテーマですが、男子難関校で出題されているのが興味深いです。

□説明・論説・随筆文

わからない世界と向き合うために 中屋敷均(ちくまプリマー新書 447) …甲陽学院,横浜共立学園,市川,日本大学 出題

わからない世界と向き合うために (ちくまプリマー新書 447)

〈弱いロボット〉から考える 人・社会・生きること 岡田美智男 (岩波ジュニア新書 989) …桜蔭,田園調布学園 出題

〈弱いロボット〉から考える 人・社会・生きること (岩波ジュニア新書 989)

世界の適切な保存 永井玲衣 講談社…開成,慶應義塾普通部 出題

世界の適切な保存

悪いことはなぜ楽しいのか 戸谷洋志 ちくまプリマー新書…東海,法政大学第二 出題

悪いことはなぜ楽しいのか (ちくまプリマー新書 459)

口の立つやつが勝つってことでいいのか 頭木弘樹 青土社…浅野,甲陽学院(2日目)出題

口の立つやつが勝つってことでいいのか

【寸評】
 『わからない世界と~』はまさに「自分と向き合う」がテーマです。中学入試御用達(?)のちくまプリマー新書からの出典です。
 『<弱いロボット>から~』は前著『<弱いロボット>の思考』(中学入試頻出著書)の実質続編で、「補い合う」がテーマです。
 『世界の適切な~』は世の中の伝わること・伝わらないことをよく見ようというエッセイ。内容はかなり難しく難関校向けか。
 『悪いこと~』は入試頻出著者の戸谷洋志氏の著書。戸谷氏の著書はほぼ哲学系の内容なのでいずれも難度は高い。
 『口の立つ~』はエッセイで、世の中へのもやもやしたことに対して「うまく言えない」ことがテーマです。

以上です。3回にわたってつづらせていただきました『MDT48』ですが、これにていったん終了といたします。ご閲覧いただきありがとうございました。
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