2023年度公立高校 特色検査入試問題分析

神奈川県公立高校 適性検査分析
問1

英語の長文の数は3つ。これを素早く読むことができるかがポイント【英語中心】
例年通り英語の長文だが、3つある長文を読み切るには時間がかかる問題であった。文章中の情報を整理して正しい数値から割合の計算をする問題、地理情報を盛り込んだ問題など、一見難しそうに見えるが丁寧に読んでいけば難易度は高くなかった。毎年のことではあるが、英文を素早く読む力が要求されている。純粋な英語力が最大のポイントとなっている。

問2

知識ではなく、論理的な思考ができたかどうか【国語中心】
蛍をテーマに俳句や規則性・データの数的処理、説明文の読解など、様々な種類の問題が出題された。特に(ウ)の箱ひげ図については、感覚的に解けるものではなく、データの整理について深く理解できていなければ難しい。それ以外は、問1同様に文章を理解し、本文の記述通りに考え、矛盾の起きない思考ができれば答えにたどり着ける問題であった。

問3

立体を正しく見る力を必要とする問題【数学中心】
図形的な問題が多く、立体の影に関する(エ)は平面図形への処理が難しかったように思える。ただ、歴史事項の並べ替えなどの他の問は比較的易しく、全体的に見れば得点源となる問題であった。例年よりも解答に必要な時間は短く、易化されたと言ってよい。数学の立体問題を暗記で処理している人には厳しい問題。美術において、立体的な物を平面の絵に落とし込む力も解法の助けとなっていた点が注目される。

問4

数学をベースとした計算・規則性を問われる問題【数学中心】
前半は例示や定義・定理・法則・公式の区別などの言葉の意味をしっかり理解しているかを問われていた。
後半はシンプルな数的処理に関する問題だったが、目新しさはほとんどなく、文字式や座標系における正方形の形などが出題され、(エ)は最小公倍数を利用すれば簡単に解ける問題であった。

問5

特色検査でよく問われる論理的思考の問題【数学中心】
全て数学に関する問題。(ア)は論理的な問題だが、~だとしたらここがおかしい、つまり~だ。というような思考が必要。この思考方法は普段から使っていくと、自然と身についていくはず。(イ)は回転した際の正八面体がどの向きから見ても同じだということに気づけるかが大事。(ウ)は法則性がシンプルなため手が動きやすく、その勢いのまま答えまで行きついた受験生も多いのではないだろうか。過去問や模試に出題された類似問題もあり、これまで多くの問題を解いてきた生徒には得点源となったであろう。

問6

日常で使用する道具の仕組みを深く考える【数学・理科中心】
パラボラアンテナやキッチンスケール(計量器)といった身近な道具の仕組み・構造を考えさせる問題。二次関数や光の反射の知識を基に応用的に考える問題であった。それぞれが独立した問題のため、問題の把握に時間がかかる。地理と地学、光と関数など科目横断の問も見られた。(ウ)は有機物・無機物の区別と水溶性を知っていれば整理できたであろう問題だが、(エ)は図と単語のどちらも初見の受験生が多かったのではないだろうか。関数という言葉の定義を知っていなければ、誤答する確率が高い。

問7

高校内容の理科と社会 しかし必要なのは知識ではなく読解力【総合】
問題テーマのラグーンやボーキサイトはどちらも高校で扱う内容である。しかし、解答に必要なのは知識ではなく、読解力と論理的な思考力であった。勉強=暗記では解けない、特色問題の典型例と言える。記述問題が含まれる(エ)も指定2か国の発電割合が水力が最多など、記述の概要は簡単に掴めたはず。最後の(オ)については、イオン化傾向を知っていると、文章を読まずに答えられる問題であった。昨年までの問7と異なり、数学の複雑な計算が無かったため、正解率は例年より上がるだろう。

総評

全体的に「一見難しそうに見えて解いていくと以外に易しい」という問題構成であった。問題が複雑で閃きが無いと解けないというものは少なかったため、言葉の意味や概念を根本から理解できているかが問われていた。特色検査の対策としては、環境問題に興味を持ったり、複雑な図形の問題を解いたりなど様々あるが、根幹にある思考力を鍛えてほしい。そのためには、「~だとしたら―なる」や「~になるためには―である必要がある、だからこう解く」など、思考の段階を踏んでいく訓練を積むことが非常に重要となる。そして理科の用語や図形の定義などをただの暗記で処理していないか、一度振り返ってみると自分の弱点に気づくことができるかもしれない。

分析担当

国大Qゼミ川船智寛先生の写真川船先生

春山先生春山先生

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