2020年度 神奈川県公立高校 学力検査分析

神奈川県公立高校 適性検査分析

大学入試が来年度から変わることにより、高校入試も変化していくと思われています。
近年、科目によっては全国トップレベルの難しさと言われている神奈川県公立高校学力検査。

実際のところ2020年度入試はどうだったのでしょうか。

学力検査が行われた当日の夜、Qゼミ中学部入試分析室のスタッフが集合し、一斉に各教科の学力検査問題を解き、その特徴をまとめました。
中2生以下、これから高校受験をするみなさんの参考になればと思います。

英語

ポイント3つ

  • 形式的は昨年度とほぼ同じ
  • 難易度も昨年並みかやや易化。
    傾向対策が奏功すれば平均点ややUpか?
  • 高得点を取るには「確実な文法力・速読力・読解力」が不可欠。

国大Qゼミ佐鹿聡洋先生
分析担当:佐鹿 聡洋先生

<総評>
出題形式としてはほぼ昨年度と同じで、かつ問8の設定、設問の複雑さが昨年度よりは易化した感もあり、万全の傾向対策をしてきた受験生には普段の模試に近い結果が出たのではないかと予想されるため、平均点も昨年度と同程度かやや上がるのではないだろうか。問1のリスニングでは(ウ)が得点を左右することが多かったがNo.2では下線も付き正答率が上がると思われる。
一方、各高校が厳密に採点するなら5点満点が取れた生徒はかなり少ないと思われるのが問5の英作文だ。漫画形式の条件英作文であることは例年通りなのだが、模範解答である「what music do you listen to」で①whatとmusicが並べられているか②自動詞listenの文末にtoが置けているか、の2点で不正解、または減点となる受験生が多数いることが予想される。
その他にも問4の語順整序では(イ)の接続詞でも使えるbeforeを前置詞として使わなければいけない問題や(エ)の前置詞句を伴う長い目的語を作る問題など正確な文法知識がなければ自信を持って解答出来ない問題が今年も散見していた。それでいて問6~8の読解問題についてはここ数年で定番となりつつある英文の長さは相変わらずで速読力は勿論、正確な読解力が求められる内容だった。
まとめとしては50分で全て正解するためには前半の文法で迷うことなく正答を出せる「確実な文法力」と後半の英文読解では一読で正確に理解出来る「速読力・読解力」を兼ね備えた本物の英語力が不可欠であり、「神奈川公立入試は高難度」のイメージを完全に定着させる入試になったと言えよう。

<これから受験をする生徒さんへ ずばり対策方法>
入試に対応出来る英語力は一朝一夕で身につく物ではありません。学年に応じた①単語力・②基礎文法力を確実に積み上げ、その上に③英作文力・④英文読解力(速読力)を構築しなければ、全く歯が立たない問題です。ただ逆に言えば中学で習得すべき英語力が定着していれば、目標点はクリアできる問題です。今の自分は上記①~④のどこにいるのかを分析し、早速今日からその克服に向けた「継続的」な勉強を始めましょう!

数学

ポイント3つ

  • できる問題を落とさなければ6割とれる
  • 問題配列の変化と新傾向問題で受験生は少し驚く
  • 問題の取捨選択と時間配分が鍵

国大Qゼミ島津寿理先生
分析担当:島津 寿理先生

<総評>
全体の難易度自体は昨年と同程度。落ち着いて勉強の成果を出しやすい問題からミスなく解ければ57点がとれた。ただし、問題配列変化と新傾向問題によって、緊張感の中、受験生には動揺があったと思われる。とくに、80点以上が目標の受験生の場合、順番にすべての問題を解ききろうとすると、どこかで時間をロスして焦ってしまったのでのはないだろうか。問題の取捨選択と時間配分といった調整能力で結果に差が出ただろう。
問1 計算 15点
例年通り。
問2 小問集合(基礎) 24点
ほぼ例年通り。(カ)は補助線を引くが、それほど難易度は高くない。
問3 小問集合(応用) 23点
(ア)昨年までの問7がここに移動した。証明は変わらず易しい。
(イ)度数分布表(難)の新傾向問題。ここで時間のロスがあったか。
(エ)新傾向問題ではあるが、「歯車=反比例」の知識があれば優しかった。
問4 関数 14点
例年通り。(イ)は今年もやや複雑な分数の計算が必要だった。
問5 確率 10点
時間を確保できれば(ア)(イ)ともに正解できる。
問6 空間図形 14点
例年通り。(ア)(イ)まで正解したいところではあるが、(イ)については立体の高さを導くところが、やや難しい。

<これから受験をする生徒さんへ ずばり対策方法>
まずは県入試の過去問や問題集で、誤答問題の解き直しまでやりきること。少なくともQゼミの授業で、しっかり対策すれば大丈夫。それに加えて、模試や予想問題を解くときに、時間内で効率よく点数をとる訓練、すなわち問題の取捨選択を本番を想定して行おう。

国語

ポイント3つ

  • 出題分野(漢字/文法・古文・小説文・論説文・グラフと表)は例年を踏襲
  • 小説文と論説文の文章量は例年並だが、設問はやや平易に。
  • 古文は伊曾保物語からの出展で、内容、設問共に易しかった。

国大Qゼミ田上清貞先生
分析担当:田上 清貞先生

<総評>
昨年と同様の出題分野・問題数・配点であった。
漢字は「読み」の「綻び」(ほころび)を読めたかで差がついた。
古文では「僧」と「盗人」の2人の登場人物のやり取りを読み取らせる問題であった。場面を想像しやすく、設問も平易であった。
小説文は素材文だけで3ページを超えており、登場人物の心情把握が出題の中心であった。限られた時間内でメリハリをつけて文章を読みつつ、選択肢の吟味を慎重に出来たかが鍵であった。
説明文は進化していく「科学のありかた」をテーマに権威主義の危険性と科学と人との関わりを読み取らせる問題であった。書き抜き問題も見つけやすかったと思われる。
グラフ・表の読み取りの記述問題は昨年よりまとめやすかったと思われる。
全体的に難易度は昨年より易しかったと思われ、平均点は上がるものと思われる。

<これから受験をする生徒さんへ ずばり対策方法>
・長文の読解問題対策
日常の学習から速読を心がけ、小説文では心情の理解や文章の主旨の理解に必要な部分とそうでないところをメリハリをつけて読むことが肝要である。また論説文では自然科学、社会科学、哲学分野など、文章のジャンルで苦手分野を作らない学習が必要である。
・基礎学力の充実を
漢字・文法・古文など、教科書で習う基礎知識をしっかり学習し定着することが重要です。また、記述の問題に関しても、普段のノートの記述の仕方や、定期テストに向けて学習する際の演習が基礎となります。
・入試過去問を解こう
数年分の神奈川県入試問題の演習と分析は必須ですが、より高いレベルの対応力をつけるために全国の公立高校入試問題などを解き実戦力をつけていこう。

理科

ポイント3つ

  • 生物・地学・物理・化学、各25点ずつのバランス型!
  • 出題学年の偏りが続く
  • 基礎知識+問題文をよく読む(読み落としをしない)


分析担当:伊沢 淳先生

<総評>
難易度が昨年、易化したことから今年は難易度が難しくなると予想されたが、さらに易化した為、平均点は上がると思われる。記述は10字以内の記述問題の1問のみ、昨年の20字以内よりさらに短い記述問題であった。6択問題は8問出題され昨年から3問増加。完答問題も4問から7問へ増加した。6択問題や完答問題の増加による難易度の変化は感じられない。
全体を通してみると一問一答形式に近い問題も多く文章量も減った為、時間的な余裕もあったと思われる。内容としても「基礎」がしっかりしていれば答えが導き出せる問題が多かったため、受験生にとっては解きやすかった問題となった。特に問1から4までの小問は受験生が引っかかりやすい問題が多かったように見える。配点は3点×12問、4点×16問の計30問と問題数・配点ともに昨年と同じ。学年別配点は中1(31点)、中2(43点)、中3(26点)となった。昨年と比べると2年生からの出題が多かった。ここ数年は1,2年生単元からの出題で約75点分が出題されている。1、2年生で苦手単元が多い人は早めの準備をする必要がある。

<これから受験をする生徒さんへ ずばり対策方法>
・高得点をとるポイント
基礎知識定着を100%を目指しましょう。暗記は最低限と考えて下さい。
理科では表面的な知識だけでなく、実験や現象において「なぜそうなるのか」などの根拠がとても大切になります。疑問を常に持ちながら学習するようにしましょう。
・中1・中2の単元を如何に忘れずに過ごせるか
理科に限らずですが、中1中2の単元は新しい学年の内容が入ってくるにつれどうしても抜けてしまいます。苦手な単元が「どの位の期間、復習しないと抜けてしまうのか」を考えておくべきです。得意な単元は長期間、頭に残っても苦手な単元は短期間で抜けます。自分の暗記期間の状況を細かく知っておくだけで復習に割く時間が受験の際に減ると思います。

社会

ポイント3つ

  • 数年前からの難化傾向、今年は落ち着く。
  • 資料活用問題20点分 昨年度より多い。
  • 経済分野の学習大事。

国大Qゼミ栗山美穂先生
分析担当:栗山 美穂先生

<総評>
数年前、社会が難化した時期から、その傾向は落ち着き、今年は全体的に易化した。平均点は去年より上がることが予想される。全分野で見られたのは「資料活用問題」である。資料1~3つを正確に速く読み取る力が必要である。一部、計算をすることで答えを導きだせる問題もあった。落ち着いて、資料と問題文を行き来しながら読み取る力、スピードが必要である。地理:昨年並み。過去問・模試などを繰り返し行い、解き慣れをしていれば問題なし。地理の細かな知識はほとんど必要としなかった。昨年との変更となると、時差の問題が公民の問題と混合して出題。だが、時差の問題を繰り返し学習すれば、問題なく解ける難易度であった。
歴史:易化。並べ替え問題は出来事の年号を暗記をせずとも、時代分けが出来ていれば解ける問題に易化。しかし、出来事の背景や流れを元に学習は必須である。
公民:昨年並み。経済分野の問題が年々増加している。経済は中3秋頃からの学習が多いため、手薄になりやすい。苦手とする生徒が多い為替や金融の分野は深い理解が必要だ。

<これから受験をする生徒さんへ ずばり対策方法>
・「ずばり!夏までに歴史を固め、秋・冬に地理・公民対策を!」
現在の入試の社会は、暗記だけでは得点が取れない傾向が続いている。特に歴史は年号を暗記よりも、各時代の流れや背景を基盤とした学習が必要である。年表を手元に置き、学習をしよう。
公民の経済分野の配点が多いため、経済の問題に慣れる必要がある。様々な角度からの問題を解き、総合的な学力をつけましょう。
地図の見方に慣れていない生徒が多い。様々な地図の種類の問題を解いて、慣れましょう。

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