受験対策ブログ
中学入試 国語 出題作品紹介 3作品 -「覚える」と「わかる」知の仕組みとその可能性・“正しい”を疑え!・この夏の星を見る-
“病的な恐怖”を 克服せよ!
出題作品
「覚える」と「わかる」 知の仕組みとその可能性 (ちくまプリマー新書 417)
書名:「覚える」と「わかる」 知の仕組みとその可能性
著者:信原 幸弘
刊行日:2022/12/08
出題校
獨協中学校、渋谷教育学園幕張中学校、昭和学院秀英中学校、成城学園中学校、桐蔭学園中等教育学校
出題ページ
P96 病的な恐怖
渋谷教育学園幕張中学校、成城学園中学校 出題
あらすじ
人間の知能の仕組みと可能性を考える上で“覚える”ことと“わかる”ことに焦点をあてた説明文です。
ポイント
今回は「状況を把握する」からの出題で、状況に応じて行為を決めるということを述べた章が題材となっています。
何らかの計画を立てるとき、最初から完璧な計画を立てようとするのではなく、まず行動し、その結果や状況の変化に応じて修正を繰り返す「アジャイル」という考え方について説明されています。この考え方は、失敗を過度に恐れる「病的な恐怖」を克服する手立てにもなると述べています。
問題は、なぜアジャイルな考え方が病的な恐怖の克服につながるのかを問うもので、失敗を恐れて完璧な計画を立てようとしても、想定外の事態にまで対応できるほど完全なものにはならない。それどころか計画にこだわりすぎると、本当に必要な行動や思考のさまたげにさえなってしまう、ということをまとめます。
何事も正しく恐れることは大切ですが、必要以上に恐れすぎて何もできなくなる“病的な恐怖”におちいらないよう、アジャイルな生き方をしていきたいものです。
真の“正しさ” 見極めよう!

出題作品
“正しい”を疑え! (岩波ジュニア新書 957)
書名:“正しい”を疑え!
著者:真山 仁
刊行日:2022/09/24
出題校
青山学院中等部、神奈川大学附属中学校、芝浦工業大学柏中学校
出題ページ
P168 私が“正しい”を疑えという理由
芝浦工業大学柏中学校 出題
あらすじ
世間が思っている“正しい”としっかり向き合い、その“正しい”を疑い、ものごとを客観視する大切さを述べた論説文です。
ポイント
今回は「歪んだ“正しい”にすがるな」からの出題です。
世の中にあるたくさんの “正しい“の中から自分の信じる“正しい”を他人に押しつけてはいけないという内容です。どうすれば、多くの人に自分の意見を届け、賛同を得られるかを考えることこそ、民主主義において大切だと説明しています。
問題は、ここでいう「正しさ」とは何か、また、それを疑うことで何ができるのかを問うものです。誰か一人の考える「正しさ」を絶対視せず、さまざまな意見に目を向けることで、異なる立場の人々が互いに納得できる結論を探り、多様な意見を受け入れることができる、ということをまとめます。
現代は多様性の時代と言われ、人の数だけ様々な考えがあります。自分の意見だけが“正しい”と思わず他人の考えを受け入れてこそ、真の多様性の世の中になるものだと思います。
コロナが隔てた 距離と心

出題作品
この夏の星を見る 上 (角川文庫)
書名:この夏の星を見る
著者:辻村 深月
刊行日:2023/06/30
出題校
神奈川学園中学校、品川女子学院中等部、東京農業大学第一高等学校中等部
出題ページ
P403 無邪気に避けてたわけじゃなくて謝るような後ろめたさもあったんだ。
神奈川学園中学校 出題
あらすじ
新型コロナウィルスの流行により、様々な活動が制限された中高生たちが、オンラインでのイベントで新たな出会いや大切なものを得ていく物語です。
ポイント
今回は「近くて遠い」からの出題です。
長崎県五島列島の旅館の娘で高校3年生の佐々野円華は、新型コロナウィルスの影響で学校での活動制限を余儀なくされます。そして円華の幼なじみ福田小春は、円華の旅館が自粛期間中も島外から客を泊めていたことから、円華と距離を置きます。
そんな中、小春が突然学校を休むようになり、様々な憶測が飛び交うものの、円華は小春に直接会って話す決心をします。
問題は、二人が久々に会い、お互いに胸の内を打ち明け合う中で円華が感じた小春の“心のうち”を問うものでした。円華を傷つけると頭では理解しながらも、周囲に流されコロナ対策を言い訳にして円華と“距離”をおいてしまった、ということを答えます。
新型コロナウィルスによって生活や社会の変化か余儀なくされましたが、人と人との距離を考える機会でもありました。ソーシャルディスタンスはとっても“心の距離“は離れないよう、互いを思いやっていきたいものです。
※この作品は、辻村深月氏の『家族シアター』収容で中学入試頻出作品でもある「1992年の秋空」と世界観を共有しており、約30年後が舞台となっています。
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