高校入試 国語の読み方をAIに学ぼう!

AI時代の国語学習とは?

AI(人工知能)が文章を書く時代です。
人間がAIの勉強のしかたを逆に学んでみても良いのではと、AIの文章作成法と入試国語の勉強を比較したところ、見事にすべてが国語の出題形式に当てはまっているではありませんか。

AIに文章を書かせる仕組みと国語のテストで良い点を取る方法には相通じるルールが存在しています。

今回、AIのしくみをヒントに国語に存在するルールや勉強法を考え、入試対策に有効な勉強法を導き出してみます。

1. AIはなぜ文章を書けるのか?


AIが言葉を覚えたり、使ったりするしくみを簡単に説明すると、次のようになっています。

これは、ある文章作成AIを作ったときの方法です。

① 青空文庫(電子図書館)の本に出てくる言葉の大量暗記

② ことわざや言葉遣いの大量暗記

③ 自然言語処理のアルゴリズムの活用

人間でいえば①と②は、本や参考書をたくさん読んで語彙を増やすことにあたります。
文章の材料になる「言葉」をあらかじめ、たくさん記憶する必要があるわけです。

料理をするとき、材料がなければ調理には取りかかれないようにAIも材料となる言葉を記憶していないと文章を作成できません。

ただAIは、いったんプログラミングされれば、何万もの数の文章を一気に大量作成できます。
その背景には言葉の膨大な記憶量に頼っているのです。

AIを単純に言ってしまうと、膨大な量の記憶量を頼りに文章を作成して数を打てば当たる方式で、その中でうまい言葉の組み合わせのものを拾っているようです。

人間でも英単語をある程度知っていれば、文法がおかしくても、それを並べて話せば、かなりの程度通じるでしょう。

人間も理屈はAIと同じわけです。
言葉を暗記、記憶せず、言葉を使うことはできません。

しっかり覚えるためには、繰り返し暗記を行う必要があります。
当然単調な勉強になりがちです。

避けては通れないので、ここは根性でやるところです。
と言いたいのですが、コンピューターの膨大な言葉のインプット能力と競っても勝ち目はありません。

2. 人間ならではの記憶法とは?

勉強する高校生
人間ならではの記憶法はないか、ひとつ探ってみましょう。

人間はものごとを単純暗記するだけではなく、人間ならではの記憶のメカニズムを応用した言葉の覚え方をしています。

それは、すでに持っている記憶と、これから新しく覚える言葉を結びつける勉強のしかたです。

単純暗記ではない、このような「発想」「創造」の領域へつなげる人間ならではの学習方法を追求していくこと。

それが、これからAI(人工知能)時代だとも言われる中、コンピューターにできない領域でわたしたちが活躍するためのカギになると考えます。

人間の脳の最新研究でわかっている記憶の仕組みを例にするとこんな感じです。

あなたが「ノスタルジー(郷愁・追憶)」という言葉を新しく覚えたとしまょう。
その際、文字や音だけを単純暗記するのではなく、「昔を懐かしむ」「追憶」「郷愁」という言葉の意味と結びつけて覚えることでしょう。

頭の中では、すると、言葉の意味から他に記憶している言葉と関連付けが起こります。
連想ゲームのようなことです。

ですから「小学校入学前に行ったいなかの風景」や、「引っ越してしまった幼なじみ」のことなどと、今新しく覚えたばかりの「ノスタルジー」という言葉とが関連付けされて記憶の引き出しにしまわれるのです。

このように、わたしたちは新しく言葉を覚えるとき、その言葉から想像をふくらましたり、発想を転換して他の記憶と関連付けるのが人間の特徴です。

言葉を「文字」や「意味」だけで単純に記憶しているわけではなく、他の言葉や過去の体験など大きな記憶のネットワークの中にひとつに新しい言葉を追加するように記憶していきます。

これが決定的に人と人工知能の違う点でしょう。

日経サイエンス 2017年11月号

この方法を応用した勉強法を紹介した記事がこちらです。

3. AIの脳みそ?自然言語処理とは?

人工知能イメージ
AIの勉強法をもう少し深掘りしてみましょう。
AIの自然言語処理のアルゴリズムとは、どんなものか見ていきましょう。

まず「自然言語」とは、人が日常使っている自然に発展してきた言語を指しています。

コンピュータープログラムで使用する「プログラミング言語」は人工的に作られたものです。
それと区別するために「自然言語」と言われています。

また「アルゴリズム」とは、計算方法のことです。
ですから、「自然言語処理のアルゴリズム」とは、人が日常使っている言語をコンピューターが計算処理できるように変換し、活用することです。

身近な活用例をあげると、スマホの入力予測変換などです。

では、次にそんな自然言語処理のしくみを具体的に見てみましょう。

自然言語処理のしくみ

①ランキング
課題と関連の高いデータの抜き出し、ランク付け

②頻度
文章中での課題の出現頻度

③同じ意味の言葉に変換
課題を同義語・類義語に変換

④分類
課題を分類(グルーピング)

⑤文法
課題の文法構造把握

これらが一例です。

AIはこういった頭の使い方をして大量に文章を作成できるのです。

4. 国語入試問題はAIの考え方と同じ

勉強中の高校生
ここで国語の入試問題の出題形式も、このAIの自然言語処理①~⑤の方法を踏まえてまとめてみます。

それがこちらです。

国語の入試問題の出題形式

1.関連性の高い言葉を見つける

2.同型反復をさがす

3.言い換え

4.分類する

5.主語‐述語関係や修飾‐被修飾関係などの文法的に解釈する

今回は過去の神奈川県公立高校入試問題を使って実際に確かめてみましょう

問.「夏樹は心を決めて発言権を勝ち取る。」とあるが、そのときの「夏樹」の気持ちを書きなさい。

こちらは登場人物の気持ちを書き表すというおなじみの記述問題です。

この問題、受験者が登場人物の心情を自分の言葉で言い換えて答案を書くわけです。

まさに関連語を自分の記憶の中から探してきてあてはめるというAIと同じような頭の使い方を試すような問題です。

問.本文中のⅠ・Ⅱに入れる語句として最も適するものを本文の最初から▲までの中から抜き出しなさい。

この出題は、Ⅰ・Ⅱの言葉が書かれている文と、同型反復の部分(対比関係や因果関係など、同じ形式で書かれた部分)を出題文中から探すことが鉄則です。

すると、傍線部の6行前と15行前の文にそっくりな文がありました。

こちらも同型反復を探すというAIと同じ頭の使い方です。

問.「このような動き」とあるが、どのような動きか、書きなさい。

記述問題は、出題文の言葉を組み合わせたり、言い換えたりして解答を作成します。

傍線部に指示語をふくむ今回の出題は、出題文の言葉をうまく組み合わせた後、言い換えて解答を作成するタイプでした。
これも言い換えというAIの頭の使い方で答えられるのです。

問.「『よく養へ。』と仰せによりて」とあるが、その意味として最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。

この問題に限らず、選択正誤問題は選択肢の文を分類する力が試されています。
こちらもAIに解ける問題でしょう。

問.次の文中の線をつけた「に」のうち、同じはたらきのするものの組み合わせとして最も適するものを、選び書きなさい。

このような文法問題、この他にもたとえば「だれが-どうした」という「主語‐述語関係」をカギにした設問があります。
一文の中の「主語」または「述語」どちらかのみに傍線が引かれた出題は、線が引かれていない方の「主語」もしくは「述語」を確認すると、設問を解くカギがあるというものです。

5. まとめ

今回は、神奈川県公立高校入試とAIの国語の解き方を照らし合わせてみました。
入試国語の設問とAIに通じるものがあるのは不思議な気もしますが、実は当然のことです。
なぜなら入試問題は決まったひとつの正答になる設問しか出題されないからです。

AIは客観的な判断を究極まで推し進めた存在です。
AIと客観的な判断を求める国語の出題は、だから相性が良いのです。

見てきたように、AIを使えば、国語の問題を解くことが可能です。
つまり、AIにプログラムできるような一定のルールが国語の解法に存在する証拠です。

「国語はセンスだ」などという言葉に影響されて国語をあきらめていたり、感覚に頼って解いて点数が伸びなかったりする人は、考えを改め、論理的に解いてみてはどうでしょうか。

入試問題の国語は、かならず正答率が上げられる出題ルールがあるのです。

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