2022年 中学受験動向 その傾向と特徴

知っておきたい中学入試クイズ

この記事では、2022年の中学入試を総括するとともに近年の受験動向について説明していきます。

まず初めに最近の中学入試の傾向をクイズにしてみました。

2問ありますので、ぜひ挑戦してみてください。

第1問

2022年度の首都圏(※1)における中学受験の受験者数は2年連続のコロナ流行による影響で減少した。
○ or ×?

※1 首都圏とは一都三県、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県とします

2021年度、2022年度とコロナの中での入試が一旦無事に終了はしておりますが、その過程では小学校の休校や、塾のオンライン授業など、私たちも今まで経験していないことがたくさん起こりました。

新型コロナ感染症流行下2年目における中学入試となりましたが、その受験者数ははたして減少したでしょうか。

<答え>
答えは×です。

つまり受験者数は増加しています。

解説は後ほどご説明いたします。

第2問

次の学校の中で高校募集を行っている学校は何校あるでしょうか?
A.栄光学園
B.フェリス女学院
C.麻布学園
D.桜蔭学園

A、Bは神奈川県の有名進学校、C、Dは東京都にある中高一貫校ですが、高校募集を行っている学校はいくつあるでしょうか。

<答え>
答えはゼロです。

高校募集を行っていないということは中高一貫教育。

6ヶ年での教育が行われており、4校とも中学入試でのみ入学ができる学校です。

いかがでしたか。

以上のクイズもふまえつつ、最新の中学入試について理解を深めていただけるよう解説していきます。

1. 中学受験者数は過去最多を更新

首都圏の中学受験状況の最新の分析結果では、2022年度入試の中学受験者数は過去最多となりました。

小学6年生の児童数は29.5万人。

そのうち中学受験者数は5.1万人。

17.3%の小学生が受験をする受験率でした。

次に小学校6学年の児童数の推移と、過去6年間の中学受験率です。

新高3生が6年前に中学受験をしたときは15.1%。

今回の新中学1年生では17.3%の受験率。

ということで、2%以上受験率が上がっています。

この17.3%の数値が過去最高、受験者数としても過去最多となったわけです。

小学6年生の児童数の推移では、今後の児童数の減少を示しており、6年後は7千人(2%ほど)ほど減少します。

児童数は今後6年間で2%減少し、中学受験者数は2%増えていることから、中学受験率は今後も上昇すると考えています。

2. 私学への期待の高まり

中学受験率の上昇傾向の背景にはいくつかの要因がありますが、2点に絞ってご説明いたします。

中高一貫教育の中学を受験するということは、高校受験がないということですので、その先の大学入試に向けて余裕を持って準備ができることをメリットとしてとらえている保護者が多いと考えられます。

中高一貫校では、6年を通して大学受験に向けてのカリキュラムが整備されていることや、補習体制が充実しています。

また学習面だけではなく、私学では「土曜プログラム」を取り入れている学校が多く、実際に第一線で活躍されている知識人の方を訪問したり招いたりするかたちで話を聞き、自分自身の視野を広げるという、そんな機会が設けられています。

2年前からの感染症拡大の影響で小学校の休校がありましたが中学高校でも休校が相次ぎました。

その中でも私学では「学びを止めない、授業を止めない」ということに重点を置き、いち早くICTを活用して早期に対応している点も期待や評価が高まっている背景だと思います。

3. 公立中高一貫校の存在

公立中高一貫校は、公立でありながら中高6ヵ年の教育がなされている学校です。
神奈川県内にも何校か学校がありますが、いずれの学校も入試は高い倍率を維持しています。

神奈川県内の公立中高一貫校の受験倍率は、実質倍率では5倍から6倍、5~6人の中で一人しか合格できない、これくらいの倍率になっています。

一般的に私立中高一貫校の受験倍率は、大体男子校は2倍くらい、女子校は1.5倍、共学校は2~3倍ですので、それと比較すると、公立中高一貫校の倍率はかなり高い水準であると言えます。

4. 中学受験入試選抜方法などの最新動向4点


中学受験に関する最近の動向について、4点お話します。

① 多くの学校で入試手続きにWebが活用されている

出願、合格発表、入学金の納入に至るすべての手続きをインターネット上で行うWeb出願が主流となっています。

20年前、30年前の中学受験では出願日前日から、お父さんお母さんが夜な夜な並んで願書を提出するといったそんな時代がありましたが、もう最近は必要な書類も郵送で済みますし、入学金もネットバンキングで済ませられますね。

② 午後入試を利用して受験スケジュールを組み立てる

中学入試は2月1日から一週間連続で行われるという特徴があります。

入試日程が2月1日から6日、7日まであり、その中で学校ごとに日程が設けられています。

その中で午後に日程を設けている学校があります。

例えば、2月1日午後の入試日程の学校もあるので、1日の午前と午後に同じ学校の入試を受けられたり、別の学校の入試を受けられたりできるようになっており、そういった日程を組む受験生が6割ほどいます。

同じように、2月2日は5割ほど、2月3日は3割ほどの受験生が午前と午後の日程を組んでおり、比較的多くの受験生が、午後入試を活用しているのが最近の傾向です。

Web出願で手続きが手軽になり、午後入試も設けられることによって、受験回数を増やすことができるため、早期に合格を獲得できるような併願作戦を立てるご家庭が増えています。

これはご家庭の方針、学校選びによって様々異なってきますが、2月6日、7日までずっと受験し続けるといった受験生は少なくなってきているように思います。

③ 選抜方法の多様化により入試科目を選択できる学校もある

最近は、例えば算数一科目入試や、国語だけの入試、あるいは得意な教科を選べるといった入試もあります。

英検の取得級により、5点、10点の加点がある場合もあります。

また、公立中高一貫校で実施されている適性検査では、例えば国語と社会が融合された問題や、算数と理科が融合されたような総合問題が出題されますが、私立の学校でも同じような形の問題を採用していることもあ
り、入試科目がとても多様化しています。

ただし、有名私立中学校は四科目、国語・算数・理科・社会の入試科目が前提ということに変わりありません。

④ 大学付属校の人気は根強い

2016年頃から私立大学の定員の厳格化が段階的に行われてきました。

それまでは、定員以上の合格を出して、結果的に歩留まりが定員を大幅に超えていた私立大学が多かったのですが、今では厳格化の影響で入学者数が減少してきています。

そのため、中学受験の段階で早慶の大学付属校や、MARCHの付属校を狙うご家庭が増え、ここ数年は大学付属校が一つのブームになっていました。

2020年度のデータによると、早慶の付属校は受験倍率が上がっているのですが、MARCHレベルは少し落ち着きつつあります。

一時期の大学付属校の受験倍率からは落ち着きいてきていますが、来年以降の動向も注視していきたいと思います。

5. さいごに

神奈川県の私立中学校は大まかに、男子校が10校、女子校が20校、共学が30校、およそ60校あります。

東京都にはその3倍の約180校の私立中学がありますので、お住まいの地域によっては東京方面の学校も選択肢に入れば、非常に幅広く学校を選ぶことができます。

中学入試は2月1日から1週間ほどの期間に連日行われ、入試日程が集中するという特徴があります。

この短期間で午後入試も利用することを考えると、入試が始まってからの期間は体力、気力勝負のところがあります。

毎年のことですが、入試が始まってからも子どもたちは日々成長しながら過ごし、第一志望の学校に行きたいという強い想いで、このハードな受験期間を乗り越えています。

中学入試は入念な志望校選びと、体力づくりも大切です。

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執筆者:森島 拓也
国大Qゼミ中学受験コース 教務責任者

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