中学受験算数 難関校の傾向は? 2020年版

2020年度 中学入試の算数 新傾向問題

こんにちは。
中学受験コース算数科です。

入試までラスト5ヶ月の学習が始まっています。
いまのところ、入試問題のカリキュラム変更や傾向そのものに大きな動きがあることは発表されていません。
11月以降の学校説明会で、各学校の対応の詳細が明らかになってくるでしょう。

来年度の入試を考える上で、あらためて2020年度の入試問題を振り返っておく必要があると考えました。
首都圏私学の入試問題を観察してみると、次のような新しい傾向の問題が見られました。

1.11の倍数の見分ける問題

S中学のT先生とMさんが、「11の倍数の見分け方」について会話しています。
あとの各問いに答えなさい。

T先生:Mさん、11の倍数の見分け方をしっていますか?
Mさん:3の倍数や4の倍数なら知っていますが、11の倍数は知りません。
T先生:それは、1けたおきに加えた和どうしの差を11で割るというものです。

例えば[3817]の場合、1けたおきに加えた和

3+1=4…(A)
8+7=15…(B)

(A)と(B)の差

15-4=11…(C)

(C)が11で割り切れるので、[3817]は11の倍数だとわかるのです。

もう一つ例をあげると、[25487]の場合、1けたおきに加えた和

2+4+7=13…(A)
5+8=13…(B)

(A)と(B)の差

13-13=0…(C)

この場合も(C)が11で割り切れるので、[25487]は11の倍数だとわかります。
Mさん:へぇ~。びっくりしました。

※2020年入試問題 抜粋(問題文の一部、設問省略)

今までも一部の学校の入試傾向として出題されておりましたが、今年はこの形式での出題が10校以上ありました。

この問題のテーマである「11の倍数の見分け方」は、とても難解ではありますが、会話文を読み進めていく中で、その理解を深めていく問題でした。

ていねいに題意をつかみ、計算方法を把握できるかがポイントになります。
中学入試=「詰め込み式の知識を問う」という認識は、もはや、ひと昔前のものであり、今や「思考力・判断力・表現力」をはじめとする、一つひとつの事象を深く理解する日頃の姿勢が問われています。

※「11の倍数の見分け方」は、授業でふれることはありますが、頻繁に登場するテーマではなく、これを完璧に理解している中学受験生は多くありません。

2.女子学院中学の説明問題

次の□に最も適切なことばや数を入れなさい。
ただし、1マスに1字ずつ入ります。

(1)1以外の整数で、1とその数自身しか約数がない数を□□といいます。
(2)2つの数の□が□となるとき,一方の数を他方の数の逆数といいます。
(3)円周率とは□□が□□の何倍になっているかを表す数です。

※2020年 女子学院中学

<答え>
(1)素数
(2)積、1
(3)円周、直径

女子難関校の問題です。
「ことばを大切にしているかどうか」が試されています。
本来的な算数の学習姿勢が問われているとも言えるでしょう。

「答えが合っていれば良い」というスタンスで学習していると、公式の原理や背景、言葉の意味などが疎かになってしまう場合があります。
そういった学習傾向に偏りがちな受験勉強に警鐘を鳴らす意味合いがあるのではないでしょうか。
点数を意識することも必要ですが、それ以前に、「算数という教科に真摯に向き合うことが大切だ」というメッセージを感じます。
それができた子が結果的には入試で一番「チカラを発揮できる」ような出題です(難関中学のスタンスは、校風の差はあれども、ほぼこのような考え方だと思います)。

3.2021年の入試は?

2021年度入試の動向は気になるところです。
小学校休講にともない、学習カリキュラムの未消化(未定着)が発生しており、出題範囲が狭まれるのか、あるいは例年と同様であるのか、私学からの発信にアンテナを立てる必要があります。

いずれも、最低限の「知識」と「技術」を前提にした上で、そこから自分で広げていけるのか、あるいは原理そのものに着目できるのか、こういった所は大切になってくると感じています。
日頃の学習姿勢を再構築しながら、未来を生きる子どもたちと一緒に私たちも学び続けていきたいと考えております。

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