
高校に入ってから、急に数学がわからなくなった。
追試ギリギリで、「自分でもなんで?」と感じていませんか?
それ、よくあることなんです。
中学と高校では、数学の考え方がまったく変わる部分があるからです。
今回は、特に最初に多くの人がつまずく「絶対値」について、
例をまじえてわかりやすく説明します。
絶対値って何?
さっそくですが、みなさん「絶対値」はわかりますか。
「数の原点(0)からの距離」のことです。
プラスの数でもマイナスの数でも、距離はいつも 0 以上になりますよね。
|+5| = 5 (0から右に距離5)
|-3| = 3 (0から左に距離3)
+5の絶対値(0からの距離)は5ですし、-3の絶対値は3となります。
距離なので、符号(+や−)は関係ありません。
ここまでは良いですよね。
絶対値の記号をはずすためのルール
さて、次の式は高校に入って間もなく学ぶ内容です。
a ≧ 0のとき |a| = a …①
a ≦ 0のとき |a| = -a …②
「この式の意味が分からない(泣)」
こんなふうに訴える人が多いんです。
プラスもマイナスも関係ないはずなのに、「-aって何よ!?」って思いませんか?
実はこの式、絶対値を「はずして」計算できるようにするためのルールなんです。
絶対値がついたままでは、式を展開したり、計算したりできません。
そこで、「絶対値を外す」=「中身を正の数として書き換える」必要が出てくるんです。
-
|+5| = 5 → もともと正の数
このように、「中の数」が正ならそのままはずしてOK。 -
|-3| = -(-3) → 符号を反転させ正の数にする
「中の数」が負なら、絶対値をはずすためには符号を反転させて(−をつけて)正にする 。
|a| = a
|a| = -a
とくに「中の数」が文字だと正の数か負の数かが分からないので、絶対値をはずすときに場合分けをする必要があるんです。前段の①と②はそれを一般化した式だと思ってください。
文字を含む絶対値の計算は場合分けが必要→解が複数
高校数学で絶対値の式を解くときは、①と②の式のように、ほとんどの場合、場合分けをして解いていきます。
例題:|2x – 1| = 3 を解きなさい。
このような式も、絶対値の記号の中が正なのか負なのかで、場合分けをして解きます。
左辺の「2x – 1」が正のときは、2x – 1 = 3 のように絶対値をはずせる。
左辺の「2x – 1」が負のときは、2x – 1 = -3 のように絶対値をはずせる。
この、負のときの考え方は理解できましたか?
絶対値の中が負の数なら、マイナスをつけてはずすから、右辺をー3にするんですね。
左辺をマイナスにして、-(2x – 1) = 3と考えてもいいですよ!
2x – 1 = 3 を解くと x = 2
2x – 1 = -3 を解くと x = -1
こたえ x=2、-1
まとめ:急がば回れ
高校のとても速いスピードの授業中だと混乱してしまうことありますよね。
場合分けをする点でも混乱してしまいがちですが、ゆっくり考えれば、大して難しいことはありません。
大事なことは「ただ、式を暗記するだけではなくその意味を考え理解する」ことなんです。
難しく聞こえるかもしれません。「暗記する方が楽!」と思うかもしれません。
でも、「意味を理解してから進む」方が、最終的には一番の近道。
絶対値の式も、落ち着いて考えれば怖くありません。
一歩ずつ、「わかる楽しさ」を取り戻していきましょう。









