
「うちの子、漢字がなかなか覚えられなくて…」
「このままで、学校の勉強についていけるか心配…」
そんな不安をお持ちの保護者の方は少なくありません。実際、塾や学校でも、漢字の書き取りに苦戦しているお子さんは多くいます。
でも実は、漢字を「がんばるもの」から「楽しいもの」に変えるだけで、子どものやる気や記憶の定着は大きく変わります。ここでは、実際に成果が出ている勉強法や、その背景にある理由を具体的に紹介していきます。
なぜ漢字が覚えにくいのか?
まず、前提として知っておきたいのが「漢字の難しさ」は “構造的”なものだということ。
- 形が複雑
- 音と意味が一致しない
- 似ている漢字が多い
- 同じ読み方で違う漢字が複数ある
たとえば、「つとめる」という音の漢字など、大人でも前後の文脈が分からないと区別がつかないものもあります。
- 「勤める」(雇用されて働くこと)
- 「務める」(役割や責任を果たすこと)
- 「努める」(力を尽くすこと)
これを単純に「100回書きなさい」では、子どもにとってはただの苦行になってしまいます。
では、どうすれば「覚えられる・身につく」学習になるのか?
ポイントは3つです。
- 意味やイメージで覚える
- 書く前に“見てわかる”工夫をする
- 楽しい・達成感がある形で取り組む
方法①:意味やイメージで覚える
▶︎ 漢字の「成り立ち」を知る
漢字はもともと絵からできた記号です。
たとえば:
- 「山」は山の形
- 「川」は流れる川の線
- 「目」は人間の目そのもの
- 「日(ひ)」は太陽
- 「月(つき)」は月の形

こうした「成り立ち」をアニメーションなどで見せると、子どもはぐっと興味を持ちやすくなります。ただの記号が「意味ある絵」に感じられますよね。
漢字の成り立ちアニメーションなら、動画サイトがうってつけです。お子さまの年齢に合わせた漢字を学べる動画を検索してみてください。
📌 動画サイト活用例
「漢字の成り立ち アニメーション」などの検索ワードで検索してみましょう。
▶︎ 漢字をパーツに分ける
難しい漢字も、実は「知っている漢字の組み合わせ」でできています。
たとえば「醤(しょう)」という字:
上が「将」
下が「酉(とり)」(酒に関係する漢字に多い)
と分けて考えれば、「なんだ、見たことある!」という感覚になります。
漢字芸人として人気の「オジンオズボーン篠宮さん」の書籍や動画はどんな漢字も簡単に覚えられると大ヒットしています。
オジンオズボーン篠宮暁の秒で暗記!漢字ドリル 小学校1・2年生編 教科書に出てくる漢字が楽しく覚えられる (TJ MOOK)
では、話題の「鬱」の覚え方を例にして、実際にその覚え方を見てみましょう。
木 (キ)
缶 (カン)
木 (キ)
ワ (ワー!)
凶 (キョウ)
、 (ワチョ!)
、 (ワチョ!)
、 (ワチョ!)
、 (ワチョ!)
ヒ (ヒ)
ミ (ミー!)
面白がりながら声に出して、書いていくと確かにちゃんと「鬱」という字が書けましたね!
他の漢字も覚え方を工夫しようとすること自体が脳を活性化して、漢字の定着に役立ちますよ!
方法②:書く前に「見てわかる」工夫
▶︎ 書き順はアニメで見ると一目瞭然
紙のドリルでは、書き順を間違えやすく、子どもが「また注意された…」とネガティブになりがちです。
そこでおすすめなのが、書き順をアニメーションで見せてくれるアプリやサイト。一画ずつ動きで見られるので、子どもにとって非常にわかりやすく、何度でも繰り返せます。
📌 ICT活用例
「漢字書き順サイト」(https://kakijun.jp)や「漢字辞典サイト」(https://kakijun.com)を一緒に開いてみてください。まるでゲームのように、子どもは楽しんで見るようになります。
▶︎ 毎日数分だけ「眺める」学習法
ある女の子は、**毎日数分、漢字を「眺めるだけ」**という勉強をして、テストで毎回満点を取り続けました。
週5日間は毎日わずかな時間、テスト範囲の漢字を眺めるだけ。一切書きません。
6日目のテスト前日になって、ようやく書き取りをするのです。
書き取りするときも、まず一度すべての漢字を書いてみる。
それで書けなかった漢字だけを何回も書いて練習するのだそうです。
どうしてこれが効果的かというと、脳は「繰り返し見たもの」を覚える仕組みがあるからです。
エビングハウスの忘却曲線でも、「記憶は時間とともに薄れるが、繰り返せば残る」と示されています。1日3分書き続けるより、毎日1分ずつ見て、最後の日にだけ書くほうが、記憶に残ることがあるのです。
📌 ポイント
「ちょっとずつ、でも毎日」がカギです。何ごともルーティーンにしてしまうことが成功への近道ですね。
方法③:遊びや生活に組み込む
▶︎ 暗記カードを自作して「お守り」感覚に
「覚えられない!」と子どもが言う漢字だけを、小さなカードに書き出して、リングでとじて持ち歩かせましょう。
電車の中、寝る前、食事中など、ちょっとしたスキマ時間に「チラ見」するだけで自然と覚えていきます。
📌 ポイント
市販のカードでなく、「自分で作る」のが記憶の定着により効果的です。
▶︎ 例文を丸ごと書いて覚える
漢字単体ではなく、その使い方や意味ごと覚える方法です。
たとえば「つとめる」は…
- 銀行に勤める
- 会長を務める
- 問題解決に努める
このように例文ごと練習することで、文脈で使い分けができるようになります。
📌 ポイント
宿題の漢字をただ10回書くのではなく、例文とセットにして2〜3回書く。これだけでも効果が変わります。

▶︎ 読書で“自然に”覚える
実は一番力をつけるのがこの方法です。
筆者自身、漢字が苦手だった子ども時代、読書を通じて漢字が読めるようになりました。物語に夢中になるうちに、漢字が「読むための道具」だと気づいたのです。
📌 親ができること
「この本、一緒に読もうか」と声をかけ、漢字が出てきたら「これ、なんて読むかな?」と自然に問いかけてみてください。
小学1年生からの漢字の勉強が大切なわけ
小学校3,4年生くらいになると、それまで漢字の勉強をおろそかにしていた子に現れる次のような現象。
音読の時間、これまで習ったはずの漢字が読めないため、つっかえ、つっかえしながらしか読めない
この子が日ごろ、眺めるだけで文章を読めているわけでないことがわかる瞬間です。
漢字が読めず語彙が不足していくと、文章を読む際、質問をしながら、立ち止まりながらしか進めないので、文章の中身をじっくりと集中して読むことができません。
だから文章の中身も面白く読めるわけがないのです。その結果、国語が嫌いになってしまいます。国語が苦手になると他の教科にも影響してきます。
特に小学校3,4年生の教科書で抽象的な言葉が増えてくることもこの背景にはあります。
具体的なものを扱っていた低学年の内容から記号や概念など抽象的な思考が必要な学習が増えてきます。
これを「9歳の壁」と言うことがあります。
「9歳の壁」を越えるために 生活言語から学習言語への移行を考える
人間は「ことば」でものを考えていますから、言葉をたくさん知っている人のほうが当然いろんな物事について考えられるわけです。
本をたくさん読んでいる子は頭が良いということをよく言いますが、それはいろんなこと、いろんな言葉を知っているからです。
国語以外の教科の土台も、言語力である、ということなんですね。
ですから、学習に最も大事な文章を読んで思考するというサイクルが妨げられないようにするためにも、漢字への苦手意識を克服することはとても重要になってくるのです。
まとめ:工夫次第で、漢字は「好き」になれる!
「鬼滅の刃」のキャラクター「竈門炭治郎」や「禰豆子」の漢字がクラスで流行ったとき、あの難しい漢字を小学生たちが競って覚えました。
「どう書くの?」「こうじゃない?」と友だち同士で言い合いながら、楽しそうに書き練習していた姿を見た方も多いのではないでしょうか。
これはまさに、「好きこそものの上手なれ」です。
つまり、大人がほんの少し工夫をしてあげることで、漢字は“やらされる勉強”から、“楽しい挑戦”に変わるのです。
最後に
小学校で習う漢字は全部で1,026字。
確かに量は多いですが、一つひとつの字に物語やルールがあるとわかれば、子どもにとっては「集めたくなる宝物」のように感じられるかもしれません。
今回ご紹介した方法を参考に、お子さんと一緒に「楽しい漢字タイム」をつくってみてください。
漢字を通して、言葉に出会い、考える力を伸ばしていけたら、それは一生の宝になるはずです。
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