【大学受験編】「国語を得点源にする」ための実戦メソッド

国語は“日本語だからできる”科目ではない

「国語はセンス」――そう言う人がいます。でも私が教えてきた数百人の受験生の中で、センスだけで合格した人は一人もいません。

国語の力とは、「読んだ内容を論理的に再現し、設問に合わせて答えを導く力」です。
これは訓練で身につきます。模試で時間が足りずいつも途中で焦っていたある生徒が、3か月後には最後の大問まで余裕をもって読み切れるようになった例がありました。それは、読解の「型」を覚えたからです。

国語は感覚ではなく「技術」。その技術を身につければ、どんな科目よりも安定して点を取れるようになります。

この記事では、国語の得点を上げるための“実戦ルーティン”を紹介します。現代文・古文・漢文それぞれの伸ばし方から、共通テストと個別試験の違いまで。
「今日からできる勉強法」を具体的に示しますので、最後まで読んでみてください。

共通テストと個別試験は“別競技”

大学受験の国語は、共通テストと個別試験で求められる力がまるで違います

試験区分
特徴
鍛えるべき力

共通テスト
スピード・情報整理・選択肢判断
正確に読む「反射神経」

大学個別試験
思考の深さ・記述表現・論理構成
文章を再構築する「持久力」

共通テストは“短距離走”、個別試験は“マラソン”。両方を意識したトレーニングが必要です。
現代文と古文漢文、資料読解に分けてそれぞれの対策を見ていきましょう。

現代文 ― 構造を読む技術を鍛える

現代文でつまずく生徒の共通点

  • 語彙が足りず、「なんとなく」で読んでいる
  • 段落のつながりを意識せず、筆者の論理を追えていない
  • 解答後に「なぜその選択肢が正しいか」を振り返らない

現代文で伸びる生徒は、読むときに「文章の地図」を描きます。

■現代文【共通テスト対策】
  • 段落ごとに「役割メモ」(例:「主張」「例」「まとめ」)を書く。
  • 根拠を本文で確認して線を引く。
  • 選択肢問題では“本文に書かれていない”を切る勇気を持つ。
  • 頻出漢字・熟語帳での語彙の定着、ことわざ慣用句の対策は基本のキ!
■現代文【大学個別試験対策】
  • 記述式は「問が何を求めているか」をまず把握。
  • 本文の論理構造(原因→結果→主張)を図にして整理。
  • 要約練習を週1回。200字以内で本文の主張をまとめてみよう。

🟩 トライアル課題(現代文)
新聞・ネット記事から1本選び、「筆者の主張」「根拠」「反対意見」を3行でまとめてみよう。
3日続けると、“読解の筋力”が目に見えて変わります。

古文 ― 文法の理解が「速さと正確さ」を生む

古文が苦手な生徒の多くは、「文法を知っているつもり」で止まっています。
文法は“使える”状態にして初めて力になります。

また現代文に比べて、古文漢文は勉強すればしただけ得点できるので、取り組んだもの勝ち!やらない理由はありません。

■古文【共通テスト対策】
  • 単語帳1冊を“完璧”に。例文で使われ方も確認。
  • 助動詞は「意味+接続+活用」をセットで覚える。
  • 音読でリズムをつかむ。読めない箇所は必ず原因を特定。
■古文【個別試験対策】
  • 原文と現代語訳を照らし合わせ、「なぜこの訳になるか」を分析。
  • 敬語や係り結びなど、文法を読解に直結させる練習を。
  • 古文常識(時代背景・文化)を1テーマずつ押さえる。

🟩 トライアル課題(古文)
『徒然草』や『源氏物語』の短い一節を選び、「主語」「述語」「心情」をノートに書き出してみよう。
声に出して読むと、“古典語の感覚”がつかめます。

漢文 ― 反射力とリズムが命

漢文は一見難しそうですが、実はルールが明確な科目です。
再読文字・否定・疑問など“型”を覚えてしまえば、スラスラ読めるようになります。

■漢文【共通テスト対策】
  • 「再読文字」「否定」「疑問・反語」の3分野を重点的に。
  • 返り点を見た瞬間、語順を自然に言い換えられるまで音読。
  • 句形ごとの意味と構文を表にまとめて反復。
■漢文【個別試験対策】
  • 訓読文を現代語訳し、自分の言葉で説明する練習を。
  • 詩文問題では語句の感情や修辞に注目。
  • 難関大では「思想背景」や「対比表現」まで問われることも。

🟩 トライアル課題(漢文)
「再読文字」をノートに一覧化し、意味・読み・例文を3つずつ書いてみよう。
1週間後に、家族や友人に説明してみる――教えることが最強の復習です。

資料読解 ― 「国語の新境地」はここにある

共通テストで導入された“実用文・資料問題”は、情報整理力を問う新領域。
表やグラフ、意見文をいかに論理的に読み取れるかが鍵になります。

  • データを読んだら「筆者は何を証明したいのか?」を考える。
  • 2つの資料を比較する場合は、「視点」「目的」「結論」を整理。
  • 時間を測り、「読む→整理→答える」の3ステップを訓練。

受験までに必ず押さえておくべき“出題形式チェック”

高校3年生の夏休みあたりから、志望校の出題形式を確認しましょう。

  • 記述の分量・マーク式かどうか
  • 出題ジャンル(例:哲学系論説文が多い、文学系が多い)
  • 古典・漢文・文学史・常識などの出題比率

ある大学が数年前から「古典比率を大幅に増やした」ことを見逃していた生徒は、夏以降、焦って古典を詰め込む羽目になったことがありました。
また、小論文の出題傾向は大学によって特徴が様々です。小論文の訓練はある程度の時間を取って繰返し取り組む必要がありますので、誰にとっても早めの傾向把握が重要です。

伸びる生徒の共通点と、学習の指針

私が教えてきて痛感するのは、伸びる生徒ほど「復習の密度」が高いということです。
正解した問題も、「なぜ正解だったか」を言語化する。
間違った問題も、「なぜ間違えたか」をノートに残す。

1冊の問題集を“3周”する生徒は、5冊を“1周”した生徒より確実に伸びます。
勉強の量ではなく、「繰り返す質」が結果を決めるのです。

筆者からのメッセージ

国語の勉強は、単なる受験対策にとどまりません。
「読み、考え、伝える力」は、大学に入っても、社会に出ても、ずっと必要になる力です。

焦る必要はありません。
今日から、1ページの音読、1文の要約、1回の復習ノート。
その積み重ねが、君を合格へ、そして“考える力を持つ人間”へと導きます。今日の課題からスタートして、着実に階段を昇って行きましょう。

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