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教育改革で変わる日本教育!改革内容と求められる学習を解説!

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はじめに

今回ご紹介させていただくお話のテーマは、「教育改革」です。

2020年から開始された教育改革は、残念ながら目玉である「英語の4技能」「国語や数学における記述問題」が先送りされている状況となっています。
しかしながら、今現在も改革は進められている真っ最中であり、これからの日本を支えていくためにはその成功が欠かせません。

今回は、そんな教育改革が必要とされる日本が置かれた状況と改革の具体的内容を解説していきます。

日本教育の危機的な状況

教育改革が必要とされている最大の理由は、日本教育の危機的な状況にあります。
まずは、現在の日本の教育がどのような事態に陥っているのか確認していきましょう。

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PISAテストとは

国際的に実施されているPISAテストの結果を確認すれば、日本教育の立ち位置を理解できます。

PISAテストは、OECDに加盟している78の国と地域で3年ごとに実施されているテストです。
対象となるのは小学6年生と中学3年生で、読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーの3つの観点から採点がおこなわれます。

ここでの読解力は単純に文章を読み解く力ではなく、資料やデータからその内容を読み取るという広い意味での読み解く力です。

このPISAテストの点数比較により、国際的な教育の立ち位置の確認が可能となります。

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ゆとり教育の影響

実は、2000年の時点で日本は数学的リテラシーと科学的リテラシーの分野でトップクラスの成績でした。しかし、2006年にその状況が一変し、大きく順位を下げてしまいます。

この間に日本で実施されていた教育が、ゆとり教育です。
ゆとり教育により、日本の得意分野であって理系の成績が大きく停滞し、世間からは大きな批判の声があがりました。

これが契機となり、日本の教育は再度の方向転換を強いられることになったのです。

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2012年以降の傾向

ゆとり教育からの方針転換の結果、2012年には成績上昇の兆しが見られました。
しかし、それは一時的なものであり、2018年には再び読解力の順位が大きく低下します。

この状況から理解しなければいけないのは、日本の教育が地盤沈下を起こしているという現実です。
2021年に予定されていたテストはコロナ禍の影響で2022年に延期されており、発表されるその結果が注目されています。

没落する日本経済

教育改革が求められる二つめの理由は、日本の経済自体が落ち込んでいるという現状です。

GDPで世界3位の経済大国と思われていますが、実際の状況は芳しくありません。
例えば、一人あたりのGDPは27位ですし、国際競争力は31位となっています。
日本国民は、すでに世界トップクラスの裕福な生活を送っているわけではないのです。

そのような状況を打破するための一つの方法が、教育改革と言えます。
教育改革には、教育レベルをもう一度向上させ、経済を復活させるという政治的意図もあるのです。

society5.0の到来

教育改革が求められる三つめの理由は、いよいよSociety5.0に突入すると言われている変化の激しい時代に対応していくためです。
ここでは、Society5.0の概要とそこで必要とされる能力について説明します。

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society5.0とは

Society5.0とは、DXデジタルが浸透し、SDGsの推進により持続可能な経済活動が実現された社会のことです。

人類の時代は、Society1.0からSociety5.0に分類されており、Society4.0までの分類は下記のとおりとなっています。

Society1.0 狩猟社会

Society2.0 農耕社会

Society3.0 工業社会(産業革命)

Society4.0 情報化社会(現在)

Society5.0では、人間の仕事の3分の2がAIに代替され、今の小学生の半数が107歳まで生きると予測されています。

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求められる能力の変化

Society5.0を迎えるにあたって教育改革が必要だと叫ばれている理由は、現在の教育が工業社会を前提に構築されたものだからです。

工業社会では、安くて良い製品を正確に早く作る能力が求められました。
言い換えると、どれだけ豊富な知識と優秀な技術を持っているかが評価された時代だったのです。

一方、Society5.0で求められる能力は、人間でないとできない作業をこなす力です。
そのような社会の到来を前提に行われる教育方針の再構築が、現在進められている教育改革と言えるでしょう。

教育改革の具体的内容

ここまでは教育改革が求めれる理由を説明してきました。
ここからは、その内容を踏まえ、具体的にどのような方針で改革が進められているのかを解説していきます。

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新学力を伸ばす

新しい教育の最大の方針は、新学力を伸ばすことです。
新学力とは、思考力や判断力、表現力などの能力を指します。

その新学力を伸ばしていくための重要ポイントとされているのが、次の3つです。

主体性:自分自身がどのようなアイデンティティを持っているかを意識させる。

多様性:人種や宗教観などが多用する社会へ対応する力を磨く。

共同性:他人と協力し、自分の知識を社会に還元していく人間性を作る。

これからは、知識や技能だけではなく、上記のような能力を伸ばしていく必要があるのです。

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学習指導要領の改訂と総合型選抜入試

その目標達成のための手段が学習指導要領の改訂と総合型選抜入試の導入です。

学習指導要領の改訂は2024年に完了予定となっており、この改訂により学校での教育方針が変更されます。

学校での教育方針と併せて改革が進められているのが、大学入試制度です。
総合型選抜入試は、会社の入社試験のようなイメージと思っていただければ問題ありません。
これまでの実績ではなく、これから何をしていきたいかを問う試験であり、すでに私立大学の半数程度で導入されています。

このように、教育改革により教育方針だけでなく入試制度の変革も進められているのです。

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STEM教育

さらに具体的な教育内容についても少し説明させていただきます。
ポイントとなるのは、STEM教育と情報教育です。

STEM教育とは、サイエンス(科学)・テクノロジー(技術)・エンジニアリング(工業)・マスマティクス(数学)の頭文字をとったもので、主に理系の教育を言います。
また、プログラミングなどの情報教育も重視されており、大学入試の科目にも「情報」が導入される予定です。

これらの科目を習得していくためには、情報を分析して判断し、どのように表現するのかという力である新学力が必要となるでしょう。

これからの時代に求められる学習とは

最後に、教育改革が実現したあとの時代で求められる学習内容についても説明させていただきます。
ここでは、4つのポイントを紹介いたしますので、しっかりと確認していきましょう。

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読解力学習

まず、すべての基礎となるのが読解力です。
そこにある文章やデータをどう読み取り、どのように判断し、表現するのかということが非常に重要になります。

読解力というと国語能力と考えられがちですが、ここで言う読解力はもっと範囲の広いものです。
あらゆる科目の基礎となる、情報を読み取り表現する力と考えてください。

まずは読解力をしっかりと身に付け、あらゆる問題に対応できる力を養っていきましょう。

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テンプレート型学習

続いて紹介するのは、テンプレート型学習です。
テンプレート型学習とは、型に当てはめて知識を記憶する学習方法です。

従来型の学習方法ですが、この手法が教育改革により不要になるわけはありません。
型に当てはめることにより、必要な知識を効率よく記憶できるので、必ず習得し、実践していきましょう。

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ストーリー型学習

ストーリー型学習は、テンプレート型学習と対をなす学習法です。

型に当てはめるテンプレート型学習に対し、発生した事象に対してなぜそれが発生したのかをストーリーを組み立てながら考えていく学習方法です。
この学習方法は、教育改革の実現により、間違いなく重要性が高まっていきます。

中学入試においても、記述式問題が増えていっている傾向がありますが、その記述式問題を解く力を養うためにも、ストーリー型学習は力を発揮します。
答えを導き出すための過程も大切にして、学習を進めていきましょう。

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探求型学習

最後にお伝えしたいのが探求型学習です。
探求型学習とは、子どもが自発的に意欲を持って取り組んでいく学習を言います。

大人に強制され、管理された学習は、本当の意味では身に付きません。
子ども自身が自立し、自発的に学習を進めていくことが何より大切なのです。

子どもの「学びたい」という気持ちを大切にしながら、学習を進めていくようにしましょう。

まとめ

今回は、日本が置かれている状況と教育改革の具体的内容について解説させていただきました。

教育改革の本質は、子どもたちが自発的に学び、考え、問題を解決できる能力を身に付けるための教育プログラムの確立と言えます。
その教育プログラムの入口となる中学受験では、ただ合格すればいいという考えではなく、そういった能力を身に付ける最初の機会ととらえていただければ幸いです。

中学受験を通し、子どもたちがこれからの未来で求められる能力を育てていきましょう。

● 執筆者 荒屋剛志(あらやつよし)

株式会社理究 取締役 学習塾事業部(国大Qゼミ)を統括
学生時代から塾一筋三十数年 小学生から高校生まで
数英国理社全科目対応 
保護者セミナー企画の開催、
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