国大Qゼミ

なぜ勉強するの?
3人のレンガ職人はこう考えた!

国大Qゼミ 小学生のための教育ブログ

イソップ寓話「3人のレンガ職人」の話を覚えていらっしゃいますか。

働くことの意味を教えてくれるこのお話は、今でも、わたしたちの生き方に問いかける何かがあります。

このお話は、転じて、なぜ勉強するのか?を子どもたちに伝えるのにも有効です。
今回はこのお話を通して、子どもたちが勉強する意味を考えます。

① 三人のレンガ職人から
考える!勉強する理由

お話は旅人が、3人のレンガ職人に、それぞれ「何をしているのか?」と問う場面がポイントです。

3人の職人はそれぞれ、こう答えます。

同じ作業をしていても、とらえ方によって幸福感には雲泥の差があることを示すお話です。

転じて、子どもたちにとって勉強することは何になるのでしょう?
勉強をしている3人の子どもに、ナゼ勉強するのかを質問してみると、それぞれ、こう答えることでしょう。

さて、この3人の中で一番学力が伸びる子は誰だと思いますか?

まず、先のレンガ職人の話をA・B・C君に分類してみましょう。

このような3つの考え方、とらえ方に分けられるでしょう。

三者三様のとらえ方に対して、それぞれを支持する、次のような意見が出てくるでしょう。

① A君を支持する意見
(やらなければならない)

  • 一見地味なA君は最後に勝つ子だ。
  • やらねばならないことはやる、このシンプルな考え方を身につけているA君は、
    どのような場に身を置いてもコツコツ努力を重ねることができる。
  • 興味のないこと、モチベーションがわかないことには見向きもしない子と違い、
    勉強自体が生活習慣となっている。
  • こういう子はムラっ気もない。
  • この考え方はその子にとってひとつの「能力」だ。
  • このような能力は将来に渡って大きな武器となる。
  • 是非とも年少期から身に付けておきたいものである。
  • A君にとってこの質問自体が意味をなさないのだろう。
  • 疑問を持つ前に手を動かす。
  • 話が飛躍するかもしれないが、将来の仕事だって同じだ。
  • 必ずしも望まざる境遇となっても、不平不満を言わず、
    身の置かれたところでコツコツ努力できるのがA君だろう。

このように考え、最終的に最も学力が伸びるのはA君だと思うでしょう。

確かに勉強の中には、面白くない、つまらないけれど、やらねばならないこともあります。
だからA君の能力は活きるでしょう。

③ B君支持の意見
(楽しいから)

  • 勉強の楽しさを知るB君こそが最強だ。
  • 最終的に最も高いレベルに達するのはB君だ。

勉強は、言わば生涯続けるべきことです。

それだから、楽しいという内発的なモチベーションを身につけたB君こそが最も学力が伸びる子と言えると、
わたしは考えます。

そして、最も高いレベルで知性を身につけるのも、おそらくB君だと。
まなぶ楽しさは、年少期にこそ体験し、つちかっておきたいものです。

さて、あなたは、この3つの意見のどれを支持しますか?

そもそもこの「ナゼ勉強するか」という問答設定自体、曖昧ですよね。

相手が小学生、中学生、高校生かで意味合いは変わります。

勉強を学習、学問、あるいは数学(算数)の勉強と、限定して置き換えても大きく変わるでしょう。

ちなみにわたしの意見は願いをこめてB君支持です。

上記の通り、A君のように当たり前のことが当たり前にできる人物は地味だけど大いに尊敬の対象です。
またC君のように、色々なことを犠牲にしても目標のために打ち込んでいる姿には感動すら覚えます。

その上でのB君支持です。

④ C君を支持する意見
(目標があるから)

  • 目標に向かって頑張るC君が最も伸びる子だ。
  • C君が最も高い意識、高いレベルで勉強していると言えるだろう。

よくアスリートが子どもたちに「夢」を持て、と語りますが、大聖堂を作るという大きな夢を持つレンガく職人と同様、
夢を目標と置きかえるなら、やはり目標をもって勉強にはげむ子どもたちこそ、高いモチベーションを維持し、
自らの意志で勉強に励むことでしょう。

目標に向かって努力するという経験そのものが、C君のこれからの人生にとっても大きな貴重な経験となり、
成長させてくれるでしょう。

人を突き動かす原動力はモチベーションです。

特に子どもにとってはモチベーションこそが最強のエネルギー源です。
そういった意味でも目標を持つC君のモチベーションは強力です。
ですが、ここで考えて欲しいのです。
目標を達成したC君、その先はどうなるでしょう?

次の目標を掲げるのでしょうか?
例えば受験。
目標の○○中学に合格したら、次は××大学合格が目標になるのでしょう。
では、その次はどうなるのでしょうか?

これでは、そのうちに目標疲れするんじゃないかな。
ましてやその目標を達成できなかったらどうなるのでしょう。
目標に向け頑張るエネルギーは短期的な瞬発力です。

⑤ 好奇心こそ学びの原点!

学ぶ楽しさの原点は好奇心です。

乳幼児が目を輝かせて自分の周囲にあるものに手を出していく好奇心、
あれこそが学ぶ楽しさの第一歩です。

いつからか学ぶことが勉強に変わり、やらねばならないつまらないことのレッテルが貼られてしまうのでしょうか。

勉(つ)めて強(し)いるって、言葉も良くないですね。

人間本来、乳幼児と同様に知識を得たり技術を体得したりすること自体に達成感、
快感を得られるようにできています。

さらに、考えて答えを出すことには、高次の快感が得られます。

アハ体験や、クイズやパズルが解けたときのアレですね。
※アハ体験とは「わかったぞ」という体験を表す、
未知の物事を認識する瞬間を示す心理学に由来するドイツ語を起源とする言葉。

勉強は本来、この快感体験の連続のはずなのです。

改めて身に付けるものではなく、この乳幼児期からの好奇心を小学生になっても、
いや大学生、社会人になっても持ち続けて欲しいと考えています。

でも、こんな声が聞こえてきます。

「楽しいだけじゃ、受験は乗り切れませんよね」

はい、おっしゃる通りです。

ただ一方で、このたびの教育改革でも、学力の3層構造で主体性が最上位に置かれています。

主体性は探求心など自ら学ぶことを示しています。

自ら学べる子は、学ぶことの楽しさを知っている子です。
あながち理想論で終わる主張ではないとわたしは思っています。

● 執筆者 荒屋剛志(あらやつよし)

株式会社理究 取締役 学習塾事業部(国大Qゼミ)を統括
学生時代から塾一筋三十数年 小学生から高校生まで
数英国理社全科目対応
保護者セミナー企画の開催、
自らも話す